この記事のポイント
- まず結論:インフルエンザは小児で 重症化しやすい、特に5歳未満
- インフルエンザ脳症:致死率5〜10%の小児期特有の合併症
- ワクチン:生後6か月から、毎年接種
- 対象:6か月〜12歳のお子さんを持つ保護者向け
⚠️ 本記事の取り扱い
インフルエンザ脳症は 数時間で進行 する重大合併症。異常言動・けいれん・意識障害 は迷わず119を。
受診のタイミング
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| すぐ救急(119) | 異常言動(うわ言・つじつまの合わない言葉)/けいれん/意識がぼんやり/「親を認識しない」/呼吸困難/チアノーゼ/インフルエンザ脳症の疑い |
| すぐ受診(小児科) | 高熱と症状/3か月未満の発熱/哺乳力低下/ぐったり/重症化リスク群(基礎疾患・5歳未満) |
| 早めに受診 | 発熱から48時間以内(抗インフル薬の適応) |
小児インフルエンザの現状
基本
- 流行:12〜3月にピーク
- A型(H1N1・H3N2)・B型・C型・D型
- A型がより重症
- 小児で重症化リスク↑
- 学校・園で集団流行
小児の重症化リスク
- 5歳未満、特に2歳未満
- 基礎疾患:喘息・心疾患・神経筋疾患・免疫不全
- インフルエンザ脳症:小児期特有
インフル vs 普通の風邪
| 項目 | インフル | 風邪 |
|---|---|---|
| 発症 | 突然 | 徐々に |
| 発熱 | 38〜40度 | 微熱〜38度 |
| 全身症状 | 強い倦怠感・関節痛 | 軽い |
| 鼻水・咳 | 後から | 初期から |
| 頭痛 | 強い | 軽い〜なし |
| 期間 | 約1週間 | 数日〜1週間 |
症状
日本小児科学会 より:
典型的な経過
| 経過 | 症状 |
|---|---|
| 潜伏期 | 1〜4日 |
| 発症 | 突然の高熱(38〜40度)・倦怠感・関節痛 |
| 2〜3日目 | 鼻水・咳・頭痛 |
| 5日目頃 | 熱が下がる |
| 1週間 | 多くは回復 |
子どもの特徴
- 発熱が高い
- 熱性けいれんを起こすことも
- 嘔吐・下痢を伴うことも
- 倦怠感で食欲不振
インフルエンザ脳症
厚生労働省 インフルエンザ脳症ガイドライン より、小児期最大の合併症:
基本
- インフルエンザ罹患後48時間以内に多発
- 5歳以下に多い
- 致死率5〜10%
- 後遺症率20〜30%:神経学的後遺症
- 日本で年間100〜500人:流行年で変動
異常言動・症状
- 「親を認識しない」「妙な行動」「うわ言」
- 「家族を見て怖がる」「居ない物が見える」
- 意味のない動作を繰り返す
- 意識の異常・反応の鈍り
- けいれん
- 嘔吐を繰り返す
→ いずれも すぐ救急(119)
観察ポイント
- 発熱開始から48時間は特に注意
- 解熱剤投与後の様子
- 寝ているか「意識がぼんやり」か
- 問いかけへの反応
- 過去のインフルとの違い
「異常言動」の例
- 「窓から飛び降りようとする」
- 「家族の名前を呼んでも振り向かない」
- 「いないものを見て話す」
- 「急に走り出す」
- 「うつろな目で笑う・泣く」
ワクチン
基本
- 生後6か月から接種可能
- 任意接種(一部自治体で公費助成)
- 毎年接種 が必要
- 流行前10〜12月 に接種が理想
効果
- 感染予防効果はある(完全ではない)
- 重症化予防が主目的
- インフルエンザ脳症の予防効果 も期待
接種回数
| 年齢 | 回数 | 間隔 |
|---|---|---|
| 6か月〜12歳(13歳未満) | 2回 | 2〜4週間 |
| 13歳以上 | 1回 |
副反応
- 発熱・接種部位の腫れ:多くは軽症
- アナフィラキシー:稀
- 重い卵アレルギーは要相談
抗インフルエンザ薬
国立感染症研究所 より、小児で使用される薬剤:
主な抗インフル薬
| 薬剤 | 投与法 | 年齢 |
|---|---|---|
| オセルタミビル(タミフル) | 内服 | 全年齢(新生児を含む) |
| ザナミビル(リレンザ) | 吸入 | 5歳以上 |
| ラニナミビル(イナビル) | 吸入 | 10歳以上一般、5〜10歳でも条件付き |
| バロキサビル(ゾフルーザ) | 内服 | 12歳以上推奨 |
| ペラミビル(ラピアクタ) | 点滴 | 重症・入院 |
投与の原則
- 発症48時間以内 が効果的
- 症状を約1日短縮
- インフルエンザ脳症予防は明確には証明されていない
- 医師判断で処方
「タミフルと異常行動」の歴史
- 2007年〜10代へのタミフル投与制限 があった
- 2018年に解除:「インフル自体が原因」と再評価
- ただし「発熱中は2日間は1人にしない」の原則 は継続
- タミフル使わない場合も観察
解熱剤の選び方
厚生労働省 より:
推奨
- アセトアミノフェン(カロナール等):小児で第一選択
- 必要時のみ使用
- 規定量を守る
禁忌・慎重
- アスピリン:禁忌(ライ症候群リスク)
- イブプロフェン・ロキソプロフェン:小児では慎重、医師判断
- メフェナム酸(ポンタール):インフル脳症リスクで控える
「熱を下げれば安心」ではない
- 解熱中の安静・観察が大事
- 解熱剤で熱が下がっても感染は進行
- 異常言動の見逃しに注意
家庭でのケア
基本
- 十分な休息
- 水分補給:脱水予防
- 解熱剤:必要時アセトアミノフェン
- 室温・湿度管理:20〜23度・50〜60%
食事
- 食欲低下時は無理しない
- 消化のいいもの:おかゆ・うどん・スープ
- 冷たくて飲みやすい飲み物
観察
- 1〜2日目は意識・行動を注意深く
- 異常言動があればすぐ救急
- 発熱が5日以上続けば再受診
きょうだいへの感染対策
- マスク・手洗い
- タオル・食器分け
- 可能なら別室
- 介護者の手洗い徹底
学校保健安全法
日本学校保健会 より:
出席停止基準
- 「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」
- 例:1日目発症、6日目解熱 → 8日目に解熱後2日経過、登園可(幼児なら9日目)
出席停止証明
- 多くの園・学校で要求
- 小児科で記入
「インフルかも?」と思ったら
受診のタイミング
- 発熱から12時間以上:迅速検査が出やすい(早すぎると陰性も)
- 48時間以内:抗インフル薬の適応
- 激しい症状は時間を問わず受診
持ち物
- 保険証・乳幼児医療証
- マスク(他患者への配慮)
- 着替え・タオル
- 症状経過のメモ
やってはいけないこと
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| アスピリン投与 | ライ症候群(脳症・肝障害) |
| 解熱剤で熱だけ下げて登園 | 感染拡大、本人も悪化 |
| 異常言動を「寝ぼけ」と判断 | インフル脳症の見逃し |
| 発熱中の子を1人にする | 異常行動の見逃し |
| ワクチンを「副反応怖い」と接種せず | 重症化リスク |
| 「治った」と出席停止期間前に登園 | 集団感染 |
| 3か月未満の発熱を様子見 | すぐ受診 |
| 嘔吐物処理を素手で | 二次感染 |
よくある誤解
Q. ワクチンを打てばかからない?
A. 完全予防ではないが重症化を防ぐ。インフル脳症予防効果も期待。
Q. タミフルは異常行動を起こす?
A. 2018年に薬剤との関連は明確でないと再評価。ただし発熱中は2日間1人にしない原則は継続。
Q. インフル脳症は珍しい?
A. 日本で年間100〜500人、稀ではあるが致死率10%。
Q. アスピリンを少量なら?
A. 禁忌。少量でもライ症候群リスク。
Q. 何科を受診すれば?
A. 小児科、緊急は 救急外来・119。
Q. 出席停止期間はいつから数える?
A. 発症日(発熱日)を1日目 として数える。
この記事の根拠
- 国立感染症研究所 インフルエンザとは
- 国立感染症研究所 予防接種スケジュール
- 厚生労働省 インフルエンザ脳症ガイドライン
- 日本学校保健会 学校において予防すべき感染症の解説
まとめ
- インフルは小児で 重症化しやすい、特に5歳未満
- インフルエンザ脳症:致死率5〜10%、異常言動・けいれんは緊急
- ワクチン:生後6か月から、13歳未満は2回接種
- 抗インフル薬は発症48時間以内 が効果的
- アスピリン禁忌(ライ症候群)、解熱剤はアセトアミノフェン
- 出席停止:発症後5日 + 解熱後2日(幼児3日)
- 発熱中の子を1人にしない:2日間は観察
大切なお知らせ:本記事は公的機関・学会の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめた一般情報です。診断・治療は必ず小児科の医師にご相談ください。

