この記事のポイント
- まず結論:おたふくかぜは耳の前下〜あごの下が腫れる ムンプスウイルス感染症。特効薬はなく対症療法。1〜2週間で多くは軽快
- 合併症に注意:片側性難聴(永続的)・無菌性髄膜炎・膵炎・思春期以降の精巣炎/卵巣炎
- 出席停止:法定で「耳下腺等の腫れから5日 かつ 全身状態良好」(学校保健安全法 第2種)
- 対象:1〜12歳のお子さんを持つ保護者向け
すぐ受診・数日以内に相談・家庭ケアで様子見
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| すぐ救急・受診 | 強い頭痛+繰り返す嘔吐(髄膜炎の可能性)/意識がぼんやり/けいれん/強い腹痛(膵炎の可能性)/聞こえにくい・呼んでも振り向かない(難聴の可能性)/顔色不良・ぐったり |
| 小児科を受診 | 耳下腺の腫れと発熱が出始めた/思春期以降の本人で精巣の痛み・腫れ/3日以上の高熱/本人の活気がない |
| 家庭ケアで様子見 | 受診済みで診断確定、対症療法中/腫れと軽度の発熱のみで本人は元気/食事・水分は取れる |
夜間・休日で判断に迷うときは #8000 に電話できます。強い頭痛+嘔吐は髄膜炎のサイン なので迷わず受診を。
おたふくかぜとは
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎、ムンプス)は ムンプスウイルス による感染症で、学校保健安全法 第2種感染症 に指定されています(国立感染症研究所)。
典型的な経過
| 時期 | 症状 |
|---|---|
| 潜伏期(2〜3週間) | 症状なし |
| 発症初期(1〜2日目) | 発熱(38℃前後)・倦怠感・耳の下の違和感 |
| 3〜5日目 | 耳の下〜あごの腫れ(片側ずつ/両側)、痛み、食欲低下 |
| 6〜10日目 | 腫れがピーク。発熱は2〜4日で落ち着く |
| 2週間 | 腫れも徐々に治る |
特徴的な腫れ
- 耳の下から顎の下 が腫れる(耳下腺・顎下腺・舌下腺)
- 片側から始まり、2〜3日後に反対側も腫れることが多い
- 約30%は 片側のみ で終わる
- 触ると痛い、咀嚼で痛む
- 酸っぱい食べ物・飲み物で唾液が出ると痛む
感染経路と感染力
- 飛沫感染(咳・くしゃみ・会話)
- 接触感染
- 潜伏期:14〜25日
- 感染力は 腫れる7日前〜腫れた後9日まで とされ、無症状期間でも感染源になる
- 集団生活で広がりやすい
合併症(軽視できない)
おたふくかぜは 特効薬がない上に合併症のリスクがある ため、ワクチンが推奨される理由になっています。
① 無菌性髄膜炎
- 発生頻度:1〜10%(決して稀ではない)
- 症状:強い頭痛・繰り返す嘔吐・首の硬さ・発熱
- 多くは数日で軽快し後遺症は少ないとされる
- 強い頭痛+嘔吐 → すぐ受診
② 難聴(ムンプス難聴)
- 発生頻度:約 1/1,000
- 多くは 片側性で永続的
- 「呼んでも振り向かない」「片耳だけ聞こえが悪い」が手がかり
- 治療法は確立されておらず、予防(ワクチン)が最善
- 子どもの片側難聴は気づきにくいので、罹患後は 聴覚検査 が推奨されることも
③ 膵炎
- 発生頻度:数%
- 症状:強い腹痛、嘔吐
- 受診で血液検査・治療
④ 精巣炎・卵巣炎(思春期以降)
- 発生頻度:思春期以降の男性で約20%
- 症状:精巣の腫れ・痛み
- 不妊リスク があるとされる
- 思春期前の子で発症することはまれだが、大人がかかる場合は要注意
⑤ その他
- 脳炎(稀)
- 心筋炎(稀)
- 関節炎・腎炎(稀)
ワクチンについて
日本小児科学会 は、1歳と就学前の2回接種 を推奨しています。
現状
- 任意接種(自治体によっては助成あり)
- 1回接種で 80%程度、2回接種で 90%以上 の発症予防効果とされる
- 副反応として 接種ワクチン株による無菌性髄膜炎(数千人に1人程度)が報告されているが、自然感染より頻度は低い
- 日本小児科学会・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会等は 定期接種化 を推奨
接種スケジュール
- 1回目:1歳(MR ワクチンと同時可)
- 2回目:5〜6歳(就学前)(MR2期 と同時可)
ワクチン費用は自治体・医療機関で異なります。任意接種ですが、合併症リスクを考えると 積極的に検討すべき ワクチンの1つです。
家庭でできること
対症療法
特効薬はなく、症状を和らげるケアが中心です。
- 発熱対策:アセトアミノフェン(カロナール)を医師の指示通り
- 冷却:腫れた部位を冷たいタオルで冷やすと楽になる
- 食事:酸っぱいもの・噛む必要があるもの・熱いもの を避ける。プリン・ゼリー・冷たいおかゆ・スープ
- 水分補給:脱水予防
- 休養:本人がだるそうなら無理させない
痛みへの対処
- 噛むと痛むので 柔らかいもの を
- 冷たい飲み物・ヨーグルト などのどを通りやすい
- アセトアミノフェン が鎮痛にも有効
観察ポイント
- 頭痛の強さ・嘔吐の頻度(髄膜炎のサイン)
- 聞こえに変化はないか(難聴のサイン)
- 腹痛の有無(膵炎のサイン)
- 思春期以降の本人なら 精巣の腫れ・痛み
- 解熱までの日数
やってはいけないこと
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 「ただの腫れ」と強い頭痛・嘔吐を放置 | 髄膜炎の可能性。すぐ受診 |
| 酸っぱいもの・固いもの・熱いもの | 唾液分泌・咀嚼で激痛 |
| 「ワクチンは任意だから不要」と判断 | 合併症リスクを考えると推奨される |
| 腫れた部位を強く揉む・温める | 痛み増強、組織損傷の可能性 |
| 解熱剤にアスピリン・イブプロフェン系を使う | 子どもにはアセトアミノフェンが基本 |
| 「もう熱が下がったから」と腫れがあるまま登園 | 出席停止期間は「腫れから5日経過+全身状態良好」 |
| 「片耳だけ聞こえにくい」を子どもの様子だけで判断 | 片側難聴は気づきにくい。罹患後の聴覚検査を |
出席停止と登園・登校
学校保健安全法施行規則 より:
- 学校保健安全法 第2種感染症
- 出席停止:耳下腺・顎下腺・舌下腺の腫脹が発現した後5日経過 かつ 全身状態が良好 になるまで
- 数え方:腫れた日(0日)から数えて5日が経過し、全身状態が良くなれば登校・登園可
- 医師の 登園許可証 が必要な場合は受診時に依頼
例
- 月曜に腫れ始め(0日) → 土曜(5日経過)以降に全身状態が良ければ翌週月曜から登校可
受診の詳しい目安
小児科を受診
- 耳下腺の腫れと発熱
- 思春期以降の本人で精巣の痛み・腫れ
- 3日以上の高熱
- 本人の活気がない
- 周囲(家族・園・学校)におたふくかぜが流行
すぐ救急 / 夜間休日相談
- 強い頭痛 + 繰り返す嘔吐(髄膜炎の可能性)
- 意識がぼんやり・けいれん
- 強い腹痛(膵炎の可能性)
- 聞こえにくい・呼んでも振り向かない(難聴の可能性)
- 顔色不良・ぐったり
夜間・休日は #8000 に相談できます。
受診時に伝えること
- 腫れ始めの日時
- 発熱・痛みの経過
- 家族・園・学校の感染状況
- ワクチン接種歴(おたふくかぜワクチンの有無・時期)
- アレルギーの有無
よくある誤解
Q. 一度かかれば免疫がつく?
A. 基本的に終生免疫 がつき、再感染はほぼありません。ただし稀に再感染の報告も。
Q. ワクチンを打つと髄膜炎になる?
A. ワクチン株による無菌性髄膜炎が 数千人に1人程度 報告されていますが、自然感染による髄膜炎の頻度(1〜10%)よりはるかに低いです。
Q. 大人もかかる?
A. かかります。むしろ大人の方が 精巣炎・卵巣炎・難聴 の合併症リスクが高いです。
Q. 抗生物質をもらいたい
A. ウイルス感染なので効きません。対症療法が中心。
Q. 妊娠中におたふくかぜにかかったら?
A. 妊婦感染で 先天性奇形のリスクは確立していない とされますが、妊娠中の感染は避けるのが望ましく、妊娠前の予防接種が推奨されます。
Q. 罹患後の聴覚検査は必要?
A. 片側難聴は気づきにくい ので、罹患後は耳鼻咽喉科で 聴覚検査 を受けることが推奨されます。
Q. 何科を受診すれば?
A. 小児科 が第一選択。難聴の疑いがあれば 耳鼻咽喉科 に紹介されます。
この記事の根拠
- 国立感染症研究所 流行性耳下腺炎
- 厚生労働省 保育所における感染症対策ガイドライン
- 学校保健安全法施行規則 第十九条(第二種感染症)
- 日本小児科学会 おたふくかぜ予防接種推奨
まとめ
- おたふくかぜは ムンプスウイルス による感染症。1〜2週間で軽快、特効薬なし
- 合併症:片側性難聴(永続)・無菌性髄膜炎・膵炎・思春期以降の精巣炎/卵巣炎
- 出席停止は 「腫れから5日かつ全身状態良好」
- 強い頭痛+嘔吐・聞こえの変化 は要すぐ受診
- ワクチンは任意接種だが推奨(1歳・就学前の2回接種)
大切なお知らせ:本記事は公的機関・学会の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめた一般情報です。医療行為の指示ではありません。お子さまの個別の症状・ワクチン接種については、必ずかかりつけ医や小児科の医師にご相談ください。

