この記事のポイント
- まず結論:髄膜炎は 細菌性 = 緊急疾患、ウイルス性も入院が多い
- Hib・肺炎球菌ワクチン定期接種化で激減、ただしゼロではない
- サイン:発熱 + 嘔吐 + 頭痛 + 項部硬直 + ぐったり
- 対象:0〜6歳のお子さんを持つ保護者向け
⚠️ 本記事の取り扱い
細菌性髄膜炎は 数時間で重症化 する緊急疾患です。発熱+ぐったり・けいれん・項部硬直 は迷わず119を。
受診のタイミング
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| すぐ救急(119/救急外来) | 発熱+ぐったり/けいれん/意識がぼんやり/項部硬直(首を曲げられない・痛がる)/大泉門の膨隆(乳児)/嘔吐を繰り返す+頭痛 |
| すぐ受診(小児科) | 発熱+激しい頭痛/新生児・乳児の発熱(特に3か月未満)/哺乳力低下/高音泣き・甲高い泣き声 |
| 早めに受診 | 発熱が長引く/普段と様子が違う/元気がない |
髄膜炎とは
国立感染症研究所 細菌性髄膜炎 や 日本小児科学会 より:
基本
- 髄膜:脳と脊髄を覆う膜
- 髄膜炎:髄膜の感染・炎症
- 原因による分類:細菌性 / ウイルス性 / 結核性 / 真菌性
- 小児で多いのは 細菌性とウイルス性
細菌性 vs ウイルス性
| 項目 | 細菌性 | ウイルス性 |
|---|---|---|
| 重症度 | 緊急、致死率・後遺症率高 | 軽症が多い |
| 治療 | 抗菌薬・入院必須 | 対症療法、入院多い |
| 進行 | 数時間で悪化 | 数日 |
| 後遺症 | 難聴・知的障害・てんかん | まれ |
| 頻度 | 稀(ワクチンで激減) | より多い |
主な原因菌・ウイルス
細菌(ワクチン定期接種前は多発)
- Hib(インフルエンザ菌b型)
- 肺炎球菌
- B群溶連菌(新生児)
- 大腸菌(新生児)
- 髄膜炎菌(稀、急速進行)
ウイルス
- エンテロウイルス(夏かぜ系)
- ムンプス(おたふくかぜ)
- 単純ヘルペス
- インフルエンザ
ワクチンによる予防
Hib(インフルエンザ菌b型)ワクチン
- 2013年4月 定期接種化
- 生後2か月から接種
- 接種前は 年間500〜600人 が発症 → 現在はほぼゼロ
- 無料(公費)
肺炎球菌ワクチン
- 2013年4月 定期接種化(13価結合型ワクチン)
- 生後2か月から接種
- 接種前と比較して 発症率激減
- 無料(公費)
おたふくかぜ(ムンプス)ワクチン
- 任意接種(2024年現在)
- ムンプス髄膜炎・難聴予防
- 2回接種が推奨
BCG・結核
- 結核性髄膜炎の予防
- 0歳の定期接種
→ ワクチンを定期スケジュール通り受けることが最大の予防。
症状
国立感染症研究所 ・ 日本小児神経学会 より、年齢別の症状:
共通する典型症状
- 発熱(38度以上)
- 激しい頭痛
- 嘔吐(繰り返す)
- 項部硬直:首を前に曲げられない・痛がる
- 意識の異常:ぼんやり・興奮・けいれん
- 羞明:光をまぶしがる
- 発疹(髄膜炎菌の場合は紫斑)
新生児(〜1か月)
- 症状が非典型 で見逃しやすい
- 発熱/低体温
- 哺乳力低下・元気がない
- 不機嫌・高音泣き
- 大泉門の膨隆(張り出し)
- けいれん
→ 新生児の発熱は理由を問わずすぐ受診。
乳児(1〜12か月)
- 発熱+ぐったり
- 嘔吐を繰り返す
- 甲高い泣き声
- 大泉門の膨隆
- 項部硬直は明確でないことも
- 異常な眠気・興奮
幼児・学童
- 発熱+強い頭痛
- 首が硬い・曲げると痛い
- 嘔吐
- 意識の異常
- 光をまぶしがる
項部硬直のチェック
家庭でできる簡単な確認:
- 仰向けで寝かせて、首を前に曲げる(顎を胸に近づける)
- 抵抗・激しい痛み があれば陽性
- 「首が動かしにくい」「頭が痛い」も合わせて
→ あくまで補助、疑わしければ受診。
治療
国立感染症研究所 より:
細菌性
- 入院必須
- 抗菌薬の点滴:原因菌に応じて
- 早期治療開始 が予後を決める
- 重症例はICU管理
- 後遺症予防のため早期診断・治療
ウイルス性
- 対症療法:解熱・水分補給・安静
- 入院加療が多い:脱水・観察のため
- 多くは数日〜1週間で改善
- ヘルペス性は抗ウイルス薬
検査
- 腰椎穿刺(髄液検査) が確定診断
- 血液検査・画像検査も
- 「腰椎穿刺は怖い」と拒否しない:診断に必須
後遺症リスク
日本小児神経学会 より、細菌性髄膜炎の後遺症:
| 後遺症 | 内容 |
|---|---|
| 難聴 | 最多の後遺症、軽度〜重度 |
| てんかん | けいれん発作の後遺症 |
| 知的障害 | 重症例で |
| 運動麻痺 | 脳損傷で |
| 水頭症 | 髄液循環障害 |
「早期治療で後遺症を減らす」
- 発症から治療開始までの時間 が予後を左右
- 「ちょっと様子見」が命取り
- 疑ったら即受診
やってはいけないこと
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 「ただの風邪」と様子見 | 細菌性は数時間で悪化 |
| 新生児・乳児の発熱を放置 | 症状非典型、低い閾値で受診 |
| 項部硬直・嘔吐・頭痛のセットを軽視 | 髄膜炎の典型 |
| ワクチンを「副反応怖い」で接種せず | ワクチンこそ最大の予防 |
| 解熱剤で熱だけ下げて自宅 | 病気は進行する |
| 大泉門の膨隆を見逃す | 乳児の重要サイン |
| 「光をまぶしがる」を軽視 | 髄膜刺激徴候 |
| 腰椎穿刺を拒否 | 確定診断に必須 |
よくある誤解
Q. ワクチンを打てば絶対かからない?
A. 激減するが完全ではない。ワクチン定期接種+早期受診の両輪。
Q. 風邪と区別できる?
A. 「発熱+ぐったり+嘔吐+頭痛」のセット は風邪と異質。疑ったら受診。
Q. 乳児の項部硬直はチェックできる?
A. 明確に出ないことも。大泉門の膨隆・哺乳力低下・甲高い泣きを総合で。
Q. 腰椎穿刺は痛い?神経を傷つける?
A. 適切に行えば安全。診断に必須、拒否しない。
Q. 一度かかれば免疫がつく?
A. 原因菌・ウイルスごとに免疫。複数の型・ウイルスがあり、再罹患も。
Q. 何科を受診すれば?
A. 小児科 が入口、緊急時は 救急外来・119、専門は 小児神経科。
この記事の根拠
- 国立感染症研究所 細菌性髄膜炎
- 国立感染症研究所 予防接種スケジュール
- 日本小児科学会 子どもがかかりやすい感染症
- 日本小児神経学会 一般向け情報
まとめ
- 髄膜炎は 細菌性が緊急疾患、ウイルス性も入院多い
- Hib・肺炎球菌ワクチン定期接種化で激減、定期スケジュール通り接種
- 「発熱+嘔吐+頭痛+項部硬直+ぐったり」のセット は救急
- 新生児・乳児は症状非典型、大泉門の膨隆・哺乳力低下
- 早期診断・治療 が予後を決める
- 後遺症:難聴・てんかん・知的障害
- 腰椎穿刺は確定診断に必須、拒否しない
大切なお知らせ:本記事は公的機関・学会の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめた一般情報です。髄膜炎を疑う症状があれば、迷わず119を要請し受診してください。

