この記事のポイント
- まず結論:A群溶連菌は 冬〜春の咽頭炎の主要原因
- 特徴:いちご舌・全身発疹(猩紅熱)・頸部リンパ節
- 抗菌薬10日間飲み切り がリウマチ熱・腎炎予防
- 対象:3〜15歳のお子さんを持つ保護者向け
⚠️ 本記事の取り扱い
劇症型溶連菌感染症は 数時間で重症化 することがあります。急速な進行・激しい全身症状 は迷わず119を。
受診のタイミング
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| すぐ救急(119) | 急速進行・激痛・皮膚壊死(劇症型疑い)/呼吸困難/意識がぼんやり |
| すぐ受診(小児科) | 高熱+強い喉痛/いちご舌/頸部リンパ節の腫れ/全身発疹/3日以上の発熱 |
| 早めに受診 | 喉痛+頭痛/繰り返す扁桃炎/家族にも症状 |
A群溶連菌咽頭炎とは
基本
- A群β溶血性レンサ球菌(GAS) による感染症
- 冬〜春に多発(12月・3月にピーク)
- 3〜15歳が中心、5〜10歳が最多
- 抗菌薬で速やかに治療できる
- 無治療だと合併症リスク
主な疾患
| 疾患 | 内容 |
|---|---|
| A群溶連菌咽頭炎 | 喉の感染・最多 |
| 猩紅熱 | 咽頭炎+全身発疹 |
| 伝染性膿痂疹(とびひ) | 皮膚感染 |
| 侵襲性溶連菌感染症 | 稀、敗血症・劇症型 |
感染経路
- 飛沫感染:咳・くしゃみ
- 接触感染:手・物
- 食品感染:稀
- 家族内感染が多い
症状
日本小児科学会 より:
典型症状
| 症状 | 内容 |
|---|---|
| 発熱 | 38度以上、突然 |
| 強い喉の痛み | 飲み込みづらい |
| 扁桃の発赤・白苔 | 喉が真っ赤、白い膿 |
| いちご舌 | 舌が赤くブツブツ、ザラザラ |
| 頸部リンパ節腫脹 | 押すと痛い |
| 頭痛・腹痛・嘔吐 | 子どもに多い |
| 発疹(猩紅熱) | 全身に細かい赤み |
「咳が少ない」が手がかり
- 咳・鼻水は少ない
- 「咳なし高熱+喉痛」 は溶連菌を疑う
- インフルとは違うパターン
猩紅熱
- A群溶連菌咽頭炎+全身発疹
- 首〜体幹に広がる細かい赤い発疹
- 「サンドペーパー」のような触感
- 1週間程度で皮むけ
- 重症化はまれ
ウイルス性咽頭炎との見分け
日本小児科学会 より:
| 項目 | 溶連菌 | ウイルス性 |
|---|---|---|
| 発熱 | 高熱・突然 | 中等度 |
| 喉痛 | 強い | 中等度 |
| 咳・鼻水 | 少ない | 多い |
| 扁桃白苔 | 多い | 少ない |
| いちご舌 | 特徴的 | なし |
| 頸部リンパ節 | 大きく痛む | 小さい |
| 発疹 | 猩紅熱で全身 | なし |
Centor 基準
成人向けだが小児にも参考に:
- 発熱(38度以上)
- 咳なし
- 扁桃白苔
- 頸部リンパ節腫脹
- 3〜14歳
→ 3点以上で溶連菌を強く疑う、検査
診断
迅速検査
- 耳鼻科・小児科で実施
- 喉のぬぐい液
- 5〜10分で結果
- 陽性なら確定
- 「陰性でも臨床的に強く疑えば培養」
培養検査
- 確定診断・薬剤感受性
- 結果まで2〜3日
治療
日本小児科学会 や 厚生労働省 AMR対策 より:
抗菌薬
第一選択:ペニシリン系
- アモキシシリン:小児で標準
- 10日間内服が原則
- 症状軽快後も飲み切る
第二選択:セフェム系
- セフカペン・セフジトレン等
- 5〜7日処方 が多い(小児では7日推奨も)
ペニシリンアレルギー
- マクロライド系:クラリスロマイシン・アジスロマイシン
- 耐性に注意
「10日間飲み切り」が大事な理由
- 症状改善後も体内に菌が残る
- 再燃のリスク
- AMR(薬剤耐性)のリスク
- リウマチ熱・腎炎の予防
解熱剤
- アセトアミノフェン:第一選択
- アスピリン禁忌(ライ症候群)
合併症
国立感染症研究所 より:
リウマチ熱
- 感染後2〜3週
- 心臓弁膜症・関節炎・舞踏病
- 適切な抗菌薬治療で予防可能
- 発展途上国で多い、日本では稀だが完全消失していない
急性糸球体腎炎
- 感染後1〜2週
- 血尿・蛋白尿・浮腫・高血圧
- 多くは自然軽快、入院管理も
- 長期予後は概ね良好
扁桃周囲膿瘍
- 扁桃の周囲に膿が溜まる
- 激しい片側喉痛・開口困難
- 緊急切開排膿
劇症型溶連菌感染症
- 稀ながら致死率高い
- 急速進行
- 皮膚壊死・敗血症・多臓器不全
- 「人食いバクテリア」とも呼ばれる
→ 急速な進行を伴う症状は救急受診
学校保健安全法
日本学校保健会 より:
出席停止
- 「適切な抗菌薬治療開始後24時間を経過していること」
- 一般に 服薬開始翌日・翌々日 から登園可
- 抗菌薬は飲み切り続ける
- 学校・園規定を確認
家庭内感染対策
日本学校保健会 より:
患者ケア
- 手洗い・うがい
- タオル・食器分け
- マスク(年齢で)
- 共用物を最小限に
家族の症状監視
- 発熱・喉痛が出たら検査
- きょうだいは要観察
- 複数で罹患するパターン多い
食事
- 冷たい・薄味のもの:喉に優しい
- 避ける:熱い・酸っぱい・塩辛い・炭酸
- 水分摂取を意識
反復感染への対応
- 「すぐまた感染」は家族内感染 や 不完全治療 の可能性
- 家族全員の検査 を検討
- 抗菌薬の飲み切り徹底
- 反復例は扁桃摘出も検討
やってはいけないこと
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 抗菌薬を症状軽快で中断 | 再燃・合併症・AMR |
| 「軽い喉痛」と放置 | リウマチ熱・腎炎リスク |
| アスピリン投与 | ライ症候群 |
| 市販の抗菌薬・他人の処方薬 | 耐性化 |
| 熱い・酸っぱい食事 | 喉痛↑、摂取困難 |
| タオル・食器共有 | 家族内感染 |
| 登園・登校基準を曖昧に | 集団感染 |
| 「うつる病気」を隠して登園 | 流行拡大 |
よくある誤解
Q. 溶連菌は喉痛だけ?
A. いちご舌・発疹・腹痛・嘔吐 など多彩。猩紅熱は全身発疹。
Q. 抗菌薬は症状軽快したら止めていい?
A. NG。10日間飲み切り。リウマチ熱・腎炎予防のため。
Q. ウイルス性の風邪に抗菌薬は効く?
A. 無効。溶連菌か検査で確認してから処方。
Q. 何回もかかる?
A. 家族内感染や不完全治療 で繰り返すことが。家族全員の検査も。
Q. 何歳まで気をつける?
A. 3〜15歳が中心、特に5〜10歳。
Q. 何科を受診すれば?
A. 小児科・耳鼻科、緊急は 救急外来。
この記事の根拠
- 国立感染症研究所 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
- 国立感染症研究所 感染症発生動向調査(IDWR)
- 厚生労働省 AMR(薬剤耐性)対策アクションプラン
- 日本学校保健会 学校において予防すべき感染症の解説
まとめ
- A群溶連菌は 冬〜春の咽頭炎の主要原因、3〜15歳が中心
- 典型:高熱+強い喉痛+いちご舌+頸部リンパ節、咳少ない
- 抗菌薬10日間飲み切り がリウマチ熱・急性糸球体腎炎予防の鍵
- 登園:「適切な抗菌薬治療開始後24時間経過」
- アスピリン禁忌(ライ症候群)
- 劇症型溶連菌感染症 は稀ながら致死率高い、急速進行に注意
- 家族内感染が多い、家族の症状監視
大切なお知らせ:本記事は公的機関・学会の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめた一般情報です。診断・治療は必ず小児科・耳鼻科の医師にご相談ください。

