この記事のポイント
- まず結論:小児肺炎は 原因別に細菌性・ウイルス性・マイコプラズマ
- 重症度サイン:呼吸数増加・陥没呼吸・チアノーゼ・SpO2低下
- RSウイルスは1歳未満で重症化、マイコプラズマは学童期に多い
- 対象:0〜12歳のお子さんを持つ保護者向け
⚠️ 本記事の取り扱い
肺炎は 乳幼児で急速に悪化 することがあります。呼吸が苦しい・陥没呼吸・顔色が悪い は救急受診を。
受診のタイミング
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| すぐ救急(119/救急外来) | 呼吸が苦しい・ぜいぜい/陥没呼吸(みぞおち・肋骨の間がへこむ)/チアノーゼ(唇・指先が青い)/意識がぼんやり/水分が摂れない/3か月未満の発熱 |
| すぐ受診(小児科) | 高熱が3日以上/呼吸数が速い/激しい咳が続く/ぐったり/哺乳力低下/3か月未満で発熱 |
| 早めに受診 | 1週間以上続く咳/微熱が続く/長引くぜいぜい |
呼吸数の目安(WHO基準)
日本呼吸器学会 や WHO 基準より、安静時の呼吸数:
| 年齢 | 正常 | 肺炎を疑う(呼吸数増加) |
|---|---|---|
| 2か月未満 | 〜60回/分 | 60回以上/分 |
| 2〜11か月 | 〜50回/分 | 50回以上/分 |
| 1〜5歳 | 〜40回/分 | 40回以上/分 |
| 6歳以上 | 〜30回/分 | 30回以上/分 |
→ 発熱中でも、目安を超える呼吸数は肺炎を疑う。
小児肺炎とは
国立感染症研究所 肺炎 や 日本小児科学会 より:
基本
- 肺の感染症:細菌・ウイルス・非定型菌(マイコプラズマ等)
- 子どもの重要な急性疾患
- 多くは外来治療で改善、重症は入院
- 年齢で原因と治療方針が異なる
原因別の特徴
ウイルス性肺炎
- 乳幼児に多い
- RSウイルス:1歳未満の重症化リスク
- インフルエンザ・アデノウイルス・パラインフルエンザ
- 抗菌薬は効かない:対症療法
細菌性肺炎
- 肺炎球菌・インフルエンザ菌・黄色ブドウ球菌
- 高熱・湿性咳・呼吸困難
- 抗菌薬で治療
- ワクチンで予防可能(肺炎球菌・Hib)
マイコプラズマ肺炎
- 「異型肺炎」
- 学童期〜思春期に多い(4歳以降)
- 長引く乾いた咳(数週間)
- 比較的元気で発熱:「歩く肺炎」
- マクロライド系抗菌薬 が第一選択
- 数年周期で流行
重症化しやすい群
- 新生児・乳児(特に2か月未満)
- 早産児・低出生体重児
- 基礎疾患:先天性心疾患・呼吸器疾患・免疫不全
- ワクチン未接種
RSウイルス感染症
国立感染症研究所 より、乳児肺炎の主要原因:
特徴
- 乳児に多い:1歳までに50%、2歳までにほぼ全員が感染
- 再感染 あり、年齢で症状が軽くなる
- 初感染の乳児で重症化リスク
- 流行時期:従来は冬、現在は夏〜秋にも
症状
- 鼻水・咳から始まる
- ぜいぜい・呼吸困難:細気管支炎
- 発熱
- 哺乳力低下
- 無呼吸(特に新生児)
重症化
- 陥没呼吸
- 呼吸数増加
- SpO2低下
- 入院加療が必要なことも
治療
- 対症療法:水分補給・酸素・吸引
- 重症は入院
- 抗ウイルス薬はなし(ハイリスク児にパリビズマブ予防)
マイコプラズマ肺炎
国立感染症研究所 より:
特徴
- マイコプラズマ・ニューモニエ(細菌の仲間)
- 学童期に多い:4〜15歳
- 数年周期で流行
- 比較的元気だが咳が長引く:「歩く肺炎」
- 発熱と長引く乾いた咳が特徴
症状
- 発熱:38度以上
- 乾いた咳が長引く(数週間〜)
- 倦怠感・頭痛
- 元気はあることも
治療
- マクロライド系抗菌薬:アジスロマイシン・クラリスロマイシン
- 耐性菌が増加:適切な薬剤選択
- テトラサイクリン・ニューキノロン:耐性時、年齢制限あり
重症度を見る指標
日本呼吸器学会 より:
呼吸数
- 年齢別の目安(前述)
- 安静時に測る:泣いていない時
- 1分間カウント
陥没呼吸
- 吸う時にみぞおち・肋骨の間がへこむ
- 呼吸が苦しいサイン
- 服を脱がせて観察
チアノーゼ
- 唇・指先・爪が青い
- 酸素が足りていない
- すぐ救急
SpO2(酸素飽和度)
- 正常:97〜100%
- 94%以下:要受診
- 90%以下:救急
- 家庭用パルスオキシメーターで測れる
水分摂取
- 「飲めない」は重症サイン
- おしっこの回数・色
ワクチン予防
定期接種
- 肺炎球菌ワクチン:細菌性肺炎の主要原因菌をカバー
- Hib ワクチン:インフルエンザ菌b型
- インフルエンザワクチン:毎年(任意 / 一部公費)
任意接種
- おたふくかぜ(ムンプス):ムンプス肺炎予防
- 水痘:水痘肺炎予防
RSウイルス予防
- パリビズマブ:ハイリスク児(早産児・先天性心疾患等)に
- 新生児ニルセビマブ:2024年〜
- 妊婦への RSV ワクチン:母子免疫
治療
外来治療
- 抗菌薬(細菌性・マイコプラズマ)
- 解熱剤・咳止め
- 水分補給・安静
- 環境調整:加湿
入院治療
- 重症・呼吸困難
- 乳児・新生児
- 基礎疾患あり
- 酸素吸入・点滴・経過観察
自宅での観察
- 呼吸数・SpO2 を記録
- 水分摂取量
- 発熱の経過
- 悪化サインを見逃さない
やってはいけないこと
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 「咳が長引く」を放置 | マイコプラズマ・気管支炎・結核の見落とし |
| 呼吸数・陥没呼吸を観察せず | 重症度判定の重要指標 |
| 「ぜいぜい」を様子見 | 細気管支炎・喘息・肺炎 |
| 抗菌薬を「効かない」と中断 | 再燃・耐性化 |
| 乳児の発熱を軽視 | 急速に悪化 |
| 3か月未満の発熱を様子見 | 迷わず受診 |
| ワクチンを「副反応怖い」で接種せず | 細菌性肺炎の主要予防 |
| SpO2 低下を見逃す | 酸素不足は脳にも影響 |
よくある誤解
Q. 肺炎は大人の病気?
A. 子どもにも多い、特に乳幼児は重症化リスク高。
Q. 抗菌薬で全て治る?
A. ウイルス性には効かない。原因に応じた治療。
Q. 「咳が長引く=肺炎」?
A. マイコプラズマ・百日咳・喘息 の可能性も。受診を。
Q. RSウイルスはワクチンがある?
A. ハイリスク児にパリビズマブ・ニルセビマブ、妊婦へのワクチンも導入。
Q. SpO2 計は家庭に必要?
A. 必須ではないが、ハイリスク児・心配な時は便利。安価で入手可能。
Q. 何科を受診すれば?
A. 小児科、重症は 救急外来・119、長引けば 小児呼吸器専門医。
この記事の根拠
- 国立感染症研究所 肺炎
- 国立感染症研究所 予防接種スケジュール
- 日本小児科学会 子どもがかかりやすい感染症
- 日本呼吸器学会 呼吸器疾患
まとめ
- 小児肺炎は 細菌性・ウイルス性・マイコプラズマ に分類
- RSウイルスは1歳未満で重症化、マイコプラズマは学童期に多い
- WHO の呼吸数基準:年齢別の目安を覚える
- 陥没呼吸・チアノーゼ・SpO2低下 は救急サイン
- 肺炎球菌・Hib ワクチン で細菌性は激減
- 「長引く咳・発熱」 は受診を躊躇しない
- 3か月未満の発熱 は迷わず受診
大切なお知らせ:本記事は公的機関・学会の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめた一般情報です。診断・治療は必ず小児科の医師にご相談ください。

