この記事のポイント
- まず結論:溶連菌感染症は A群溶血性連鎖球菌 による細菌感染症。抗菌薬を医師の指示通りに飲み切る ことで合併症(リウマチ熱・急性糸球体腎炎)を防ぐ
- 登園/登校:適切な抗菌薬開始から 24時間 経過+元気なら可(法的な出席停止期間はなし)
- 対象:3〜12歳のお子さんを持つ保護者向け(学童期に最も多い)
すぐ受診・数日以内に相談・家庭ケアで様子見
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| すぐ受診(小児科) | 突然の高熱+強いのどの痛み/扁桃に白い苔/いちご舌(舌が赤く粒々)/全身に細かい赤い発疹/首のリンパ節が腫れて痛い/家族・園で溶連菌の流行 |
| すぐ救急 | 呼吸が苦しい/首が腫れて飲み込めない/意識がぼんやり/ぐったりして反応が鈍い |
| 治療後の再受診 | 抗菌薬を飲み始めて 3日経っても熱が下がらない/治療終了後 2〜4週間 で再発熱・むくみ・赤茶色の尿(合併症の可能性) |
夜間・休日で判断に迷うときは #8000 に電話できます。
溶連菌感染症とは
溶連菌感染症は、A群溶血性連鎖球菌(GAS:Group A Streptococcus)という細菌によるのどや皮膚の感染症です(日本小児科学会)。
典型的な症状
| 部位 | 症状 |
|---|---|
| 発熱 | 38〜39℃台が突然出る |
| のど | 強い痛み、つばを飲むのもつらい |
| 扁桃 | 白い苔(はくたい) がつく、赤く腫れる |
| 舌 | いちご舌(赤く粒々が浮き出る):2〜3日目以降 |
| 首 | リンパ節が腫れて痛い |
| 発疹 | 体や手足に 細かい赤い発疹(ヤスリのようなザラザラ) |
| その他 | 頭痛・腹痛・嘔吐を伴うことも |
「かぜではない」と疑うサイン
- 3歳以上で、咳・鼻水よりも のどの痛み+発熱 が前面に出ている
- 白い苔・いちご舌・発疹 のいずれかがある
- 家族・園で溶連菌が流行している
ただし症状だけでは確定できないので、迅速検査(10〜15分で結果) で診断します。
感染力
- 飛沫感染(咳・くしゃみ)
- 接触感染(同じコップ・タオル)
- 抗菌薬開始から 24時間 で感染力はほぼなくなる
- 発症前2日〜発症直後が最も感染力が強い
治療の中心は「抗菌薬を飲み切ること」
夏かぜ・インフルエンザなどのウイルス感染症とは違い、溶連菌は 細菌 が原因なので 抗菌薬が明確に効きます。
主な治療薬
- ペニシリン系(アモキシシリンなど):第一選択、5〜10日間
- ペニシリンアレルギーの場合は マクロライド系(クラリスロマイシン等)など
なぜ「飲み切る」ことが大事か
抗菌薬を始めると 1〜2日で熱が下がり、のどの痛みも軽快 します。しかしここで「治った」と自己判断で中止すると:
| 合併症 | 起こる時期 | 症状 |
|---|---|---|
| リウマチ熱 | 2〜3週間後 | 関節炎・心臓の弁の障害(一生残ることも) |
| 急性糸球体腎炎 | 1〜3週間後 | むくみ・赤茶色の尿・血圧上昇 |
| 再発・他者への感染 | 数日〜数週間 | 不完全な殺菌で再増殖 |
抗菌薬を 指示された日数(通常5〜10日)飲み切る ことで、これらの合併症リスクを大きく下げることができます。
家庭でできること
治療中のケア
- 抗菌薬は指示された時間・指示された日数を厳守(症状が良くなっても続ける)
- 発熱時は アセトアミノフェン(カロナール等)を用法用量通り
- 冷たい・しみない・やわらかい食事:プリン・ゼリー・うどん・冷奴・アイスクリーム
- 柑橘類・酸味の強いもの・熱いものは避ける(のどが痛む)
- 水分はこまめに:脱水を防ぐ
- 休養:本人がだるそうなら無理させない
家族の感染対策
- タオル・コップ・歯ブラシは別
- 手洗いの徹底
- 同じ部屋でも距離をとり、換気
- 家族にのどの痛み・発熱が出たら早めに受診(無症状で保菌することもある)
「治った確認」
- 抗菌薬を飲み切った後、2〜4週間後に尿検査 を勧められることがある(急性糸球体腎炎の早期発見)
- 医師の指示に従って受診を
やってはいけないこと
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 熱が下がったから抗菌薬を自己中断 | 合併症(リウマチ熱・急性糸球体腎炎)のリスクが上がる |
| 「のどが痛い=かぜ」と市販薬で済ます | 溶連菌は抗菌薬が必要。検査で確定診断を |
| 抗菌薬を飲み忘れて翌日まとめて2回分 | 副作用のリスク。忘れたら次回から通常通りに |
| きょうだいに「念のため」と余った抗菌薬を飲ませる | 耐性菌の原因。検査で陽性なら処方される |
| 発熱中にロキソニン/イブプロフェンを連用 | 子どもにはアセトアミノフェンが基本。判断は医師に |
| 抗菌薬開始 1日で「もう感染しないだろう」と登園 | 24時間経過+元気が条件 |
| 治療終了後の尿検査をスキップ | 合併症の早期発見の機会を失う |
| 「兄弟ものどが痛い」と検査なしで自己治療 | 家族内感染では検査・処方を受ける |
受診の詳しい目安
小児科を受診
- 突然の高熱+強いのどの痛み
- 扁桃に白い苔がついている
- いちご舌・発疹がある
- 家族・園・学校で溶連菌が流行
- 抗菌薬を飲み始めて3日経っても熱が下がらない(耐性 or 別の感染の可能性)
すぐ救急 / 夜間休日相談
- 呼吸が苦しい
- 首が腫れて飲み込めない・声がかすれる
- 強い首の腫れと開口障害(口を開けられない)
- 意識がぼんやり・呼びかけに反応が鈍い
- ぐったり
治療後(2〜4週間)の経過観察
- 赤茶色〜コーラ色の尿(急性糸球体腎炎の可能性)
- 顔・足のむくみ
- 関節の痛み・腫れ(リウマチ熱の可能性)
- 動悸・息切れ
これらが出たら すぐに小児科を受診 し、過去の溶連菌治療歴を伝えてください。
登園・登校の判断
- 学校保健安全法上の出席停止期間は定められていない(第3種「その他の感染症」)
- 一般的な目安:適切な抗菌薬治療を開始してから24時間経過し、全身状態が良ければ登園・登校可
- 園・学校によって「医師の許可書」を求められることがある
よくある誤解
Q. 抗菌薬を飲み始めて熱が下がったら、もうやめていい?
A. 絶対にやめないでください。症状が良くなっても菌は体に残っており、自己中断すると リウマチ熱・急性糸球体腎炎 のリスクが上がります。指示された日数を飲み切ることが治療の本体です。
Q. 検査で陽性なら、家族も検査すべき?
A. 症状がある家族は検査 を受けてください。無症状の家族(保菌者)への予防投与は通常は行いません。
Q. 治療終了後の尿検査は必須?
A. 強く推奨されます。急性糸球体腎炎は治療終了後 1〜3週間で発症するので、早期発見のため。
Q. うがいで予防できる?
A. うがい・手洗いは飛沫感染対策として有効ですが、確実な予防にはなりません。流行期は タオル・コップを分ける などの対策と早期受診を。
Q. 何度もかかります。免疫がつかない?
A. 溶連菌は 菌の型が複数あり、別の型なら再感染します。繰り返す場合は耳鼻科で扁桃の評価を相談することも。
Q. ペニシリンアレルギーがあります
A. 必ず受診時に伝えてください。マクロライド系・セフェム系 など代替の抗菌薬を処方されます。
Q. 何科を受診すれば?
A. 小児科。のどの所見・迅速検査で早く診断できます。
この記事の根拠
- 日本小児科学会 溶連菌感染症(一般の方向け)
- 国立感染症研究所 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
- 厚生労働省 保育所における感染症対策ガイドライン
- 学校保健安全法施行規則 第十九条(第三種「その他の感染症」)
- こども家庭庁 こども医療電話相談事業(#8000)
まとめ
- 溶連菌感染症は A群溶血性連鎖球菌 による細菌感染症。抗菌薬が明確に効く
- 典型症状:突然の高熱・のどの痛み・白い苔・いちご舌・細かい発疹
- 治療の本体は 「指示された日数の抗菌薬を飲み切ること」:合併症予防のため
- 登園・登校は 抗菌薬開始から24時間+元気 が目安
- 治療終了後 2〜4週間 は合併症(むくみ・赤茶色尿・関節痛)に注意
大切なお知らせ:本記事は公的機関・学会の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめた一般情報です。医療行為の指示ではありません。お子さまの個別の症状については、必ずかかりつけ医や小児科の医師にご相談ください。

