この記事のポイント
- まず結論:子どもの中耳炎は 急性中耳炎・滲出性中耳炎・反復性中耳炎 の3タイプで対応が違う。耳の痛み・発熱・耳だれ があれば耳鼻咽喉科へ
- 見逃しやすい:滲出性中耳炎は 痛みがなく、聞こえの低下や「呼んでも振り向かない」が唯一のサイン
- 反復性:6か月で3回以上 or 12か月で4回以上の急性中耳炎は専門評価へ
- 対象:1〜10歳のお子さんを持つ保護者向け
すぐ受診・数日以内に相談・家庭ケアで様子見
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| すぐ救急・受診 | 耳の後ろが赤く腫れ熱を持つ(乳様突起炎の可能性)/顔のゆがみ(顔面神経麻痺)/意識がぼんやり・けいれん/激痛で泣き続ける/高熱+ぐったり |
| その日のうちに耳鼻咽喉科 or 小児科 | 耳の痛みを訴える/耳だれ(黄色〜緑色の液)が出ている/発熱+機嫌が悪い/呼んでも振り向かない・テレビの音を大きくする(滲出性中耳炎の可能性) |
| 家庭ケアで様子見 | 治療中で症状が改善傾向/痛みはなく聞こえも問題ない |
夜間・休日で判断に迷うときは #8000 に電話できます。
中耳炎の3タイプ
中耳炎は、鼓膜の奥の 中耳 に炎症や液体貯留が起きる病気です(日本耳科学会 小児急性中耳炎ガイドライン2024)。
① 急性中耳炎
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 症状 | 耳痛・発熱・耳だれ・機嫌不良 |
| 原因菌 | 肺炎球菌・インフルエンザ菌(細菌) |
| 発症 | 風邪のあと数日〜1週間で発症 |
| 治療 | 軽症は経過観察、中等症以上は抗菌薬(アモキシシリン等) |
| 期間 | 1〜2週間で多くは軽快 |
② 滲出性中耳炎
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 症状 | 痛みがない。聞こえにくい・呼んでも振り向かない・テレビの音を大きくする |
| 原因 | 急性中耳炎の後に液体が中耳に残る、耳管の機能不全 |
| 発見 | 学校の聴力検査や急性中耳炎の経過観察中に判明 |
| 治療 | 経過観察、必要に応じて鼓膜チューブ留置 |
| 注意 | 長引くと 言語発達・聴覚 に影響 |
③ 反復性中耳炎
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 6か月で3回以上 または 12か月で4回以上 の急性中耳炎 |
| 背景 | 集団生活・受動喫煙・哺乳瓶寝かしつけ・アレルギー性鼻炎 |
| 治療 | 抗菌薬の選び方の見直し、必要に応じて鼓膜チューブ留置、肺炎球菌ワクチンの接種徹底 |
なぜ子どもは中耳炎が多いか
- 耳管が短く水平に近い:鼻・のどの細菌が中耳に入りやすい
- 免疫が未熟:感染を起こしやすい
- 集団生活で風邪をもらいやすい
- 鼻づまり・アレルギー性鼻炎 が耳管機能を悪化させる
家庭でできること
受診前・治療中のケア
- 耳を冷やす:氷嚢や保冷剤をタオルでくるんで耳の周りに当てる(嫌がるなら無理しない)
- 鼻をかむ(できる年齢なら):強くかむと中耳に圧がかかるので 片方ずつ静かに
- 鼻吸い器(できない年齢):鼻水を吸って耳管圧を下げる
- 上半身を高くして寝る:仰向けより楽
- 解熱・鎮痛:アセトアミノフェン(カロナール)を医師の指示通り
- 入浴:耳に水を入れない程度ならOK。耳だれがあるときは医師に確認
抗菌薬を処方された場合
- 指示された日数を飲み切る(症状が良くなっても続ける)
- 第一選択は アモキシシリン、効きが悪ければ アモキシシリン・クラブラン酸(オーグメンチン) や セフェム系
- 抗菌薬を飲んでも 3日経って改善しない ときは再受診
- 自己判断で中止しない・余った薬を兄弟に使わない
滲出性中耳炎の場合
- 3か月以上続く ようなら 鼓膜チューブ留置術 を検討
- アレルギー性鼻炎があれば並行治療
- 聴力検査を定期的に
- 受動喫煙は避ける
反復性中耳炎の場合
- 肺炎球菌ワクチン(PCV13/15/20) の接種徹底
- インフルエンザワクチン の毎年接種
- 哺乳瓶での寝かしつけを避ける(仰向けで飲ませない)
- 集団生活の前に 鼻のケア(鼻水・鼻づまりを早めに治療)
やってはいけないこと
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 市販の点耳薬を自己判断で使う | 鼓膜に穴があれば中耳に薬が入って悪化することも |
| 耳掻きで耳の中をいじる | 外耳道を傷つける/鼓膜を破る危険 |
| 耳だれを綿棒で奥まで掃除する | 鼓膜・中耳を傷つける。表面を軽く拭く程度に |
| 鼻を両方同時に強くかむ | 中耳に圧がかかり悪化。片方ずつ静かに |
| 抗菌薬を3日で「効かない」とすぐ別の薬に変える | 3〜5日経過観察してから判断 |
| 抗菌薬を症状改善で自己中断 | 不完全な治療→反復性・耐性化のリスク |
| 「呼んでも振り向かないのは集中してるから」と聞こえの低下を放置 | 滲出性中耳炎が長期化して言語発達に影響する可能性 |
| プール・温泉に治療中に入る | 耳だれや鼓膜の穴があれば悪化。医師の許可を得てから |
受診の詳しい目安
耳鼻咽喉科を受診(第一選択)
- 耳の痛みを訴える
- 耳を頻繁に触る・引っ張る(言葉が出ない乳幼児)
- 発熱+機嫌が悪い(特に風邪のあと)
- 耳だれ(黄色〜緑色)
- 呼んでも振り向かない・テレビの音を大きくする
- 急性中耳炎の経過観察
- 反復性中耳炎の評価
小児科でも対応可
- 発熱と機嫌不良で原因不明の時の初期評価
- 既に発熱・全身症状がある時
すぐ救急 / 夜間休日相談
- 耳の後ろが赤く腫れて熱を持つ(乳様突起炎の可能性)
- 顔のゆがみ(顔面神経麻痺)
- けいれん
- 意識がぼんやり
- 高熱+ぐったり
- 激痛で泣き続ける
夜間・休日は #8000 に相談できます。
受診時に持っていくもの
- 症状の経過(発熱・痛み・耳だれの時期)
- 風邪の経過
- 兄弟の感染状況
- アレルギー(薬・食物)
- 過去の中耳炎の頻度
よくある誤解
Q. 中耳炎は風邪薬で治りますか?
A. 市販の風邪薬では治りません。細菌感染なので、必要に応じて抗菌薬の処方が必要。耳鼻咽喉科を受診してください。
Q. 抗菌薬は早めにもらった方が治りが早い?
A. 軽症は経過観察 が原則(日本耳科学会2024ガイドライン)。中等症以上で抗菌薬が必要。自己判断で抗菌薬を要求しない。
Q. 鼓膜切開は怖いです
A. 鼓膜切開は 痛みを劇的に和らげ、膿を排出する 効果的な処置です。切開した鼓膜は数日〜数週間で自然に閉じます。聴力への影響はほぼありません。
Q. 鼓膜チューブを入れると耳が悪くなる?
A. 滲出性中耳炎が3か月以上続く場合、チューブ留置で聞こえが改善 します。チューブは6か月〜2年で自然脱落、聴力への悪影響はないとされます。
Q. プールはいつから入れる?
A. 耳だれが止まり、鼓膜に穴がなくなってから。耳鼻咽喉科の許可を得てから再開。鼓膜チューブが入っている場合は耳栓使用を相談。
Q. 反復性中耳炎は治りますか?
A. 集団生活・年齢・原因対策 で改善することが多いです。6〜7歳ごろから自然に減ります。それまでは抗菌薬の選び方・鼻のケア・ワクチン徹底で対応。
Q. 滲出性中耳炎を放置するとどうなる?
A. 言語発達・聴覚 に影響する可能性。3か月以上続くなら鼓膜チューブを検討してください。
Q. 何科を受診すれば?
A. 耳鼻咽喉科 が第一選択。鼓膜の所見が直接見られる。小児科でも初期対応はできるが、確定診断・チューブ留置は耳鼻咽喉科で。
この記事の根拠
- 日本耳科学会 小児急性中耳炎診療ガイドライン2024年版
- 厚生労働省 保育所における感染症対策ガイドライン
- 日本小児科学会
- こども家庭庁 こども医療電話相談事業(#8000)
まとめ
- 子どもの中耳炎は 急性・滲出性・反復性 の3タイプで対応が違う
- 痛み・発熱・耳だれ → 耳鼻咽喉科を受診
- 痛みのない聞こえの低下 → 滲出性の可能性、放置で言語発達に影響
- 6か月3回 or 12か月4回 → 反復性、抗菌薬選択とワクチン・原因対策の見直し
- 抗菌薬は 指示された日数を飲み切る、3日効かなければ再受診
大切なお知らせ:本記事は公的機関・学会ガイドラインの発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめた一般情報です。医療行為の指示ではありません。お子さまの個別の症状については、必ずかかりつけ医や耳鼻咽喉科・小児科の医師にご相談ください。

