この記事のポイント
- まず結論:小児耳鼻科の3大トラブルは 副鼻腔炎(蓄膿症)・扁桃炎・アデノイド肥大。長引く鼻水・夜のいびき・繰り返す扁桃炎 が受診サイン
- 対象:3〜12歳のお子さんを持つ保護者向け
- 中耳炎は別記事 で扱っているので、本記事は他の3トラブルに焦点
受診のタイミング
| 症状 | 対応 |
|---|---|
| すぐ受診 | 高熱+飲み込めない(扁桃が腫れすぎて呼吸困難)/いびきが大きく呼吸が止まる(睡眠時無呼吸)/顔面の腫れ(重症副鼻腔炎の合併)/首のリンパ節が大きく腫れて高熱 |
| 耳鼻咽喉科を受診 | 10日以上続く黄色〜緑色の鼻水(細菌性副鼻腔炎)/繰り返す扁桃炎(年4回以上)/毎晩のいびき・口呼吸/無呼吸が時々ある/中耳炎を併発/声がかすれて長引く |
| 家庭ケアで様子見 | 軽い鼻水のみで本人は元気/時々いびき程度/治療中で改善傾向 |
夜間・休日で判断に迷うときは #8000 に電話できます。
① 副鼻腔炎(蓄膿症)
副鼻腔炎とは
副鼻腔(鼻の奥にある空洞)に 細菌・ウイルス感染で炎症 が起き、膿がたまる状態(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)。
症状
- 10日以上続く黄色〜緑色の鼻水(透明な鼻水とは異なる)
- 鼻づまり が続く
- 顔の頬・額が 重い・痛む
- 黄色いタンを伴う咳(鼻水がのどに流れる)
- 集中力低下・倦怠感
- 慢性化すると 嗅覚障害
治療
- マクロライド系抗菌薬:少量を 2〜3か月 長期投与
- 抗ヒスタミン薬・点鼻ステロイドの併用
- アレルギー性鼻炎の合併治療
- アデノイド肥大が背景 にあれば手術検討
「中耳炎の繰り返し」との関係
副鼻腔と中耳は 耳管でつながっている。副鼻腔炎が中耳炎を繰り返す原因になることも。両方の治療が必要。
② 扁桃炎・扁桃肥大
扁桃とは
口を開けたときに見える のどの両側の塊。免疫の役割があるが、感染源にもなる。
急性扁桃炎
- 突然の 高熱・のどの強い痛み
- 扁桃が腫れ、白い苔(白苔) がつく
- 飲み込みにくい
- 首のリンパ節腫脹
原因と治療
| 原因 | 治療 |
|---|---|
| ウイルス性 | 対症療法、自然軽快 |
| 細菌性(溶連菌等) | 抗菌薬(ペニシリン系等)7〜14日、迅速検査で確定 |
繰り返す扁桃炎・扁桃肥大
- 年4回以上の急性扁桃炎 が2年連続:扁桃摘出手術を検討
- 扁桃が大きく 食事・呼吸・睡眠に支障
- 学校を頻繁に休む
- 手術(扁桃摘出術) で改善することが多い
- 全身麻酔で1週間程度の入院
③ アデノイド肥大
アデノイドとは
鼻の奥(鼻咽腔)にあるリンパ組織。出生時は小さく、3〜7歳でピーク、12歳以降に縮小(徳洲会 等の情報を参考)。
アデノイド肥大の症状
- 鼻づまり が常時続く
- 口呼吸(口を開けて呼吸)
- いびき(毎晩、大きな音)
- 睡眠時無呼吸:いびきの間に呼吸が止まる
- 中耳炎を繰り返す(耳管が圧迫される)
- 副鼻腔炎を繰り返す
- 成長への影響(栄養・睡眠の質)
- アデノイド顔貌:長期化で顎の発達への影響
治療
- 薬では小さくならない
- 軽症は 経過観察(自然縮小を待つ)
- 重症(無呼吸・繰り返す中耳炎・成長への影響)は手術
- アデノイド切除術 + 必要なら扁桃摘出術 を同時に
- 全身麻酔・短期入院
「夜のいびき・無呼吸」のサイン
毎晩のいびき・呼吸が止まるなどは 睡眠時無呼吸症候群 の可能性:
- 子どもの 成長・集中力・記憶 に影響
- 慢性化で 学習・運動への影響
- 耳鼻咽喉科で 睡眠検査 を相談
家庭でできること
副鼻腔炎の予防
- 手洗い・うがい
- 鼻のかみ方を教える:片方ずつ静かに
- アレルギー性鼻炎を治療
- 加湿(湿度50〜60%)
- 脱水を避ける(こまめな水分)
扁桃炎の予防
- 手洗い・タオル分け
- 溶連菌の家族内感染対策
- 風邪をひいたら早めの受診
- 慢性化したら扁桃摘出を相談
アデノイドの観察
- 夜のいびきを録音・録画:受診時の参考になる
- 無呼吸の有無を観察
- 鼻づまり・口呼吸の頻度
- 学校・園での集中力・体重増加 の経過
やってはいけないこと
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 「鼻水が長引いてるけど風邪」と1か月放置 | 副鼻腔炎の慢性化。10日以上の黄色い鼻水は受診を |
| 市販の総合感冒薬で済ます | 副鼻腔炎・扁桃炎には抗菌薬が必要なことも |
| 抗菌薬を症状改善で自己中断 | 不完全な治療で再発・耐性化 |
| 「いびきは寝相が悪いだけ」と無視 | 睡眠時無呼吸の可能性。子どもの成長への影響大 |
| 手術を「怖いから」と先延ばし | 学習・成長への影響が大きいなら早めの相談を |
| アデノイドを薬で治そうとする | 薬では小さくならない。経過観察か手術 |
| 扁桃炎を繰り返しても抗菌薬の追加だけ | 年4回以上なら手術の検討も |
| 鼻を強くかむ | 中耳炎の原因に。片方ずつ静かに |
よくある誤解
Q. 副鼻腔炎は大人の病気?
A. 子どもにもあります。むしろ風邪の繰り返しで慢性化することも。10日以上続く鼻水は副鼻腔炎を疑って受診を。
Q. 扁桃を取ると免疫が落ちる?
A. 大きな影響はない とされます。他のリンパ組織が補う。むしろ繰り返す扁桃炎の悪影響の方が大きい。
Q. アデノイドはなぜ大きくなる?
A. 鼻の奥のリンパ組織で 免疫機能の発達と関連。3〜7歳がピーク、12歳以降に縮小するのが自然経過。
Q. アデノイド切除と扁桃摘出は別の手術?
A. 別の手術ですが、同時に行うことが多い。両方が問題なら効率的。
Q. 手術後はすぐ普通の生活に戻れる?
A. 1〜2週間で日常生活に。激しい運動・スポーツは1か月程度控える。学校復帰は医師の指示通り。
Q. 何科を受診すれば?
A. 耳鼻咽喉科(できれば 小児耳鼻科)。発熱・全身状態が強ければ小児科で初期対応、必要なら紹介。
Q. 鼻吸い器は使い続けても大丈夫?
A. 適切に使えば問題なし。電動式が楽。強い吸引は粘膜を傷めるので注意。
この記事の根拠
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
- 国立成育医療研究センター 耳鼻咽喉科
- 厚生労働省 保育所における感染症対策ガイドライン
- こども家庭庁 こども医療電話相談事業(#8000)
まとめ
- 小児耳鼻科の3大トラブル:副鼻腔炎・扁桃炎・アデノイド肥大
- 長引く黄色い鼻水 → 副鼻腔炎、抗菌薬の長期治療
- 繰り返す扁桃炎・大きく腫れる → 抗菌薬、年4回以上で手術検討
- 毎晩のいびき・無呼吸 → アデノイド肥大の可能性、睡眠検査も
- 中耳炎を併発することも多いので 総合的な耳鼻科評価 を
- 中耳炎は 別記事「子どもの中耳炎」 を参照
大切なお知らせ:本記事は学会・公的機関の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめた一般情報です。医療行為の指示ではありません。お子さまの個別の症状については、必ずかかりつけ医や耳鼻咽喉科の医師にご相談ください。

