メインコンテンツへスキップ
0〜2歳🏥健康・医療

子どもの聴力スクリーニング:新生児聴覚スクリーニング(AABR・OAE)と『1-3-6ルール』──早期発見・早期支援の世界標準

新生児聴覚スクリーニング(NHS)は約99%の出生施設で実施されている。AABR・OAEの検査法、世界保健機関(WHO)も推奨する『1-3-6ルール』(生後1か月までに検査・3か月までに診断・6か月までに支援開始)、滲出性中耳炎による一時的難聴、自宅でできる聴こえチェックまで整理しました。

012.kids 編集部公開: 2026-03-11更新: 2026-06-106分で読めます
情報の信頼性

情報源:厚生労働省・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会・こども家庭庁 ほか

作成:012.kids 編集部公開日:2026-03-11最終確認:2026-06-10参考文献:4
共有LINEX

この記事のポイント

  • まず結論:新生児聴覚スクリーニング(NHS)は 約99%の出生施設で実施
  • WHO「1-3-6ルール」:1か月までに検査・3か月までに診断・6か月までに支援
  • 後天性難聴(中耳炎・髄膜炎・薬剤性)のリスクは残る
  • 対象:0歳〜の赤ちゃんを持つ保護者向け

受診のタイミング

状況 対応
早めに受診(耳鼻咽喉科) 新生児聴覚スクリーニング要再検査大きな音にも反応しない/呼んでも振り向かない/1歳半で言葉が全く出ない/中耳炎の反復/繰り返す耳をいじる
健診で相談 言葉の発達が気になる/滲出性中耳炎の疑い
見守りOK NHSパス+健診で問題なし/発達順調

新生児聴覚スクリーニング(NHS)

厚生労働省 新生児聴覚スクリーニング より:

基本

  • 生後すぐ〜入院中 に実施
  • 約99%の出生施設で実施(2019年厚労省調査)
  • 先天性難聴は1000人に1〜2人
  • 早期発見で言葉の発達が大きく改善
  • 多くの自治体で費用助成

検査方法

AABR(自動聴性脳幹反応)

  • 音への脳波反応を測定
  • 眠っている状態で
  • 検査時間 10〜30分
  • より精密

OAE(耳音響放射)

  • 内耳からの音を測定
  • 検査時間 数分
  • AABR より簡便

「Refer(要再検査)」が出たら

  • すぐ難聴ではない:再検査が必要
  • 慌てず精密検査
  • 3か月までに確定診断 を目指す

「1-3-6ルール」

厚生労働省 や WHO 推奨:

月齢 目標
1か月 スクリーニング検査の実施
3か月 確定診断
6か月 早期支援(補聴器・療育)開始

なぜ早期介入か

  • 言葉の発達の感受性期 は生後早期から
  • 早く補聴器・療育を始めるほど 言葉の発達が良い
  • 6か月以降では言葉の遅れが目立つ

先天性難聴の原因

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 より:

主な原因

原因 内容
遺伝性 約50〜60%、GJB2 等の遺伝子変異
先天性サイトメガロウイルス感染症 約20%、無症候性も
早産・低出生体重 リスク↑
新生児黄疸の重症化 核黄疸
薬剤性 一部の抗菌薬
原因不明 約20%

「家族歴なし」でも発症

  • 遺伝性難聴の多くは劣性遺伝
  • 両親が保因者 で子に発症
  • 「家族歴なしだから大丈夫」は誤り

後天性難聴

主な原因

  • 滲出性中耳炎:最多、一時的・治療可能
  • 急性中耳炎の反復
  • 髄膜炎後
  • おたふくかぜ(ムンプス難聴)
  • 薬剤性:一部の抗菌薬(アミノグリコシド等)
  • 頭部外傷
  • 大音量への曝露:イヤホン・コンサート

NHS パスしても安心しすぎない

  • NHS は出生時の検査
  • 後天性難聴は別 にリスクあり
  • 継続的な観察が必要

滲出性中耳炎

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 より、子どもに多い一時的難聴:

基本

  • 中耳に液体が溜まる
  • 痛みなし
  • 聞こえにくい
  • 3〜7歳に多い
  • アレルギー性鼻炎・反復中耳炎で

症状

  • テレビの音量が大きくなる
  • 呼んでも反応が鈍い
  • 滑舌が悪くなる
  • 耳をよく触る
  • 集中力低下

治療

  • 多くは数か月で自然軽快
  • 抗菌薬・点鼻:症例による
  • 鼓膜換気チューブ:長引く場合
  • 耳鼻科で定期フォロー

言葉の発達への影響

  • 長期化すると言語発達に影響
  • 「聞こえない期間」が言葉を学ぶ機会を奪う
  • 早期発見・治療

自宅でできる聴こえチェック

月齢別の反応

月齢 反応の目安
新生児〜3か月 大きな音でビクッ・モロー反射
3〜6か月 音の方向を見る・喃語
6〜12か月 名前を呼ぶと振り向く
1〜1歳半 簡単な言葉を理解
2歳 2語文
3歳 3語文以上・会話

自宅チェック

  • 背後から呼ぶ:音の方向に振り向くか
  • 音の大きさを変えて:小さい音にも反応するか
  • テレビの音量:他の子と比べて大きくないか
  • 言葉の発達:年齢相応か

健診での確認

こども家庭庁 母子保健施策 より:

  • 1か月健診:NHS の結果確認
  • 3〜4ヶ月健診:音への反応・喃語
  • 1歳半健診:言葉の発達
  • 3歳児健診:聴力検査(自宅事前検査)
  • 就学前検診:オージオメーター

「言葉が遅い」と感じたら

  • 聴力 + 言語発達 の両方を評価
  • 耳鼻科 + 発達相談
  • 早期介入で大きく改善

補聴器・人工内耳

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 より:

補聴器

  • 軽度〜重度の難聴で
  • 早ければ生後数か月から装着
  • 言葉の発達を支援
  • 専門医・療育機関の連携

人工内耳

  • 重度難聴で補聴器の効果が不十分な場合
  • 生後1歳前後から手術可能
  • 早期手術で言葉の発達↑
  • 専門施設で

療育

  • 聴覚特別支援学校
  • 言語訓練
  • 手話・口話
  • 家族のサポート

やってはいけないこと

やってはいけないこと 理由
NHS要再検査を「面倒」と先延ばし 1-3-6ルールから外れる
NHSパスで「安心」と耳の心配なし 後天性難聴のリスク
「呼んでも振り向かない」を見逃す 難聴の重要サイン
滲出性中耳炎を放置 言葉の発達に影響
大音量のイヤホン使用 騒音性難聴リスク
「家族歴なしだから大丈夫」と決めつけ 遺伝性難聴の多くは劣性遺伝
言葉の遅れを「個性」と放置 聴力評価が必要
健診で聴こえの心配を伝えず 早期介入機会を逃す

よくある誤解

Q. NHSパスしたから難聴なし?

A. 出生時の検査、後天性難聴は別。継続的な観察が必要。

Q. 「Refer(要再検査)」=難聴?

A. すぐ難聴ではない、再検査で確定。慌てず精密検査。

Q. 大きな音で反応するから聞こえている?

A. 大きな音のみは軽度難聴を見逃す。小さい音への反応・言葉の発達で判断。

Q. 補聴器は何歳から?

A. 生後数か月から装着可能、早ければ早いほど言葉の発達↑。

Q. 言葉が遅い、まず何科?

A. 小児科+耳鼻科、聴力評価。発達は 児童発達支援センター

Q. 何科を受診すれば?

A. 耳鼻咽喉科、特に 小児耳鼻咽喉科

この記事の根拠

  • 厚生労働省 新生児聴覚スクリーニング
  • 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 難聴・聴覚検査
  • こども家庭庁 母子保健施策
  • 日本小児科学会 子どもの発達

まとめ

  • 新生児聴覚スクリーニング(NHS)は 約99%の施設で実施
  • WHO「1-3-6ルール」:1か月検査・3か月診断・6か月支援
  • 先天性難聴の半数以上は遺伝性、家族歴なしでも発症
  • NHSパスしても後天性難聴のリスク あり
  • 滲出性中耳炎 は子どもで多く、長期化で言葉の発達に影響
  • 「呼んでも振り向かない」「言葉が遅い」 は早期受診
  • 補聴器・人工内耳・療育 の早期開始で言葉の発達↑

大切なお知らせ:本記事は公的機関・学会の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめた一般情報です。聴こえの心配があれば、必ず耳鼻咽喉科にご相談ください。

🌱

次のステージ:Pre Stage3〜5歳

お子さんが成長したら、こちらもどうぞ

あわせて読みたい

当サイトの情報は公的機関や専門家の発信をもとに編集部が独自にまとめたものです。各情報源の機関が監修・承認したものではありません。健康や発達について心配がある場合は医師や専門家にご相談ください。