この記事のポイント
- まず結論:腸重積は 3か月〜2歳に多い急性腹症、腸の入れ子
- 3徴:間欠的な激しい腹痛・嘔吐・いちごゼリー状の血便
- 発症24時間以内 が治療の勝負、高圧浣腸で治ることが多い
- 対象:3か月〜3歳のお子さんを持つ保護者向け
⚠️ 本記事の取り扱い
腸重積は 24時間以上で腸壊死リスク が上がる緊急疾患です。間欠的に激しく泣く+嘔吐+血便 は迷わず救急受診を。
受診のタイミング
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| すぐ救急(119/救急外来) | 間欠的に激しく泣く・痛がる(10〜15分おき)/嘔吐を繰り返す/いちごゼリー状の血便/顔色不良・ぐったり |
| すぐ受診(小児科) | 激しい腹痛が周期的/嘔吐+お腹を痛がる/普段と違う元気のなさ/3か月〜2歳での「説明のつかない不機嫌」 |
| 早めに受診 | 軽い腹痛が反復/血便を一度確認した |
腸重積症とは
日本小児外科学会 腸重積症 や 日本小児科学会 より:
基本
- 腸の一部が他の腸の中に入り込む(入れ子状態)
- 血流障害・腸閉塞
- 3か月〜2歳がピーク、特に6か月〜1歳
- 男児に多い
- 回腸末端〜結腸の境界 で起こることが多い
- 小児急性腹症で最多の1つ
なぜ起こるか
- 多くは原因不明(特発性)
- 腸管リンパ濾胞の腫脹:ウイルス感染後など
- 稀に Meckel 憩室・ポリープ・腫瘍 が「先進部」になることも
- 春・秋に多い:感染症との関連
進行
- 腸の血流障害
- 数時間で粘膜出血:いちごゼリー便
- 24時間以上で壊死リスク
- 穿孔・腹膜炎で重症化
3徴(典型症状)
日本小児外科学会 より、古典的な3徴:
1. 間欠的な激しい腹痛
- 10〜15分おきに繰り返す
- 「火がついたように激しく泣く」
- 泣き止んだ後はぐったり または 一時的に普通に戻る
- 発作のたびに激しい
2. 嘔吐
- 腸閉塞による
- 繰り返す
- 進行すると胆汁性嘔吐(緑色)
3. 血便(いちごゼリー状)
- 粘血便:赤い果肉に粘液が混じったような外観
- 発症から数時間後
- 「ジャム状」「いちごゼリー状」と表現
- オムツで確認
「3徴揃わない」場合も多い
- 3徴揃うのは典型例
- 血便は遅れて出る
- 不機嫌・ぐったり・嘔吐だけ のことも
- 「説明のつかない不機嫌」は腸重積を疑う
「説明のつかない不機嫌」
- 3か月〜2歳で
- 間欠的に激しく泣く
- 熱・他の症状が乏しい
- お腹を触ると痛がる
→ 「ぐずぐず」ではなく「急に激しく泣いて落ち着く繰り返し」が特徴。
ロタウイルスワクチンとの関連
関連の有無
- ロタウイルスワクチン接種後7日以内 の稀な合併症として報告
- 約10万接種に1〜数件
- ベネフィットが上回る:定期接種化(2020年10月〜)
- 接種推奨は変わらず
接種時期の重要性
- 初回は14週6日まで
- 2回目・3回目も期限あり
- 生後8〜32週で完了
- 早めの接種開始
接種後の注意
- 接種後7日間 は腸重積の症状に注意
- 間欠的腹痛・嘔吐・血便 に気づいたら受診
- ワクチンを「だから打たない」は誤った判断
診断
受診時
- 問診:泣き方・嘔吐・血便・時間経過
- 腹部診察:右下腹部のソーセージ様腫瘤
- 直腸診:血便の確認
- 腹部超音波(エコー):確定診断、ターゲットサイン
- 腹部レントゲン:補助
- 動画を見せる:泣き方の参考になる
親の準備
- 泣き方を動画で:医師の判断に役立つ
- おむつ持参:血便の確認
- 時間経過のメモ
治療
日本小児外科学会 ・ 国立成育医療研究センター より:
高圧浣腸(注腸整復):第一選択
- 生理食塩水・空気 で圧をかけて整復
- 発症24時間以内 で成功率高い
- 手術なしに治る
- 施設の経験で成功率が異なる
- 再発の可能性(10%程度)
手術
- 高圧浣腸不成功
- 24時間以上経過・壊死疑い
- 穿孔・腹膜炎
- 腸切除が必要なことも
入院
- 整復成功後も観察入院
- 再発リスクに注意
- 食事再開を段階的に
再発
- 約10%で再発
- 多くは発症から数日以内
- 再発時も整復可能
- 頻回再発例は手術検討
家庭での観察
「いちごゼリー便」の確認
- 明らかな粘血便
- 少量のことも
- オムツを保管して受診時に提示
- 「いつものうんち」と違うと感じたら
痛みのパターン
- 「急に激しく泣いて、5〜10分後にケロッと落ち着く」を繰り返す
- 「ずっとぐずる」とは違う
- 動画撮影が有効
注意して観察
- 3か月〜2歳の説明のつかない不機嫌
- 特に嘔吐を伴うとき
- 疑ったらすぐ受診
やってはいけないこと
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 「ぐずぐず」と様子見 | 間欠的な激痛は腸重積の典型 |
| 嘔吐+腹痛を「胃腸炎」と決めつけ | 鑑別が必要 |
| 血便を見て「便秘の切れ痔」と | いちごゼリー便とは別物 |
| 24時間以上の様子見 | 壊死・穿孔リスク↑ |
| 下剤・浣腸を勝手に使う | 病態を悪化 |
| ロタワクチンを「腸重積怖い」で打たない | ベネフィットが上回る |
| 整復後の再発を見逃す | 約10%で再発、要観察 |
| おむつを捨てて受診 | 血便確認の証拠 |
よくある誤解
Q. 腸重積は手術が必要?
A. 早期は高圧浣腸で多くは整復。発症24時間以内が勝負。
Q. 「いちごゼリー便」とはどんな?
A. 赤い粘液状の便。ジャム状とも。普通の血便とも違う独特の外観。
Q. ロタワクチンが原因?
A. 接種後7日以内の稀な合併として報告、約10万接種に1〜数件。ベネフィットが上回る。
Q. 何回もなる?
A. 約10%で再発、整復成功後も観察が大事。
Q. 何歳まで気をつける?
A. 3か月〜2歳がピーク、3歳以降は稀。
Q. 何科を受診すれば?
A. 小児科・小児外科、緊急時は 救急外来・119。
この記事の根拠
- 日本小児外科学会 腸重積症
- 日本小児科学会 子どもがかかりやすい病気
- 国立成育医療研究センター 新生児・乳幼児の消化器疾患
- 国立感染症研究所 予防接種スケジュール
まとめ
- 腸重積は 3か月〜2歳に多い急性腹症、腸の入れ子
- 3徴:間欠的な激しい腹痛・嘔吐・いちごゼリー状の血便
- 「説明のつかない不機嫌」も疑う
- 発症24時間以内の高圧浣腸で多くは整復、それ以上で手術リスク
- 腹部超音波で確定診断
- ロタワクチン後7日以内は注意、ただし接種推奨は変わらず
- 再発約10%、観察を継続
大切なお知らせ:本記事は公的機関・学会の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめた一般情報です。診断・治療は必ず小児科・小児外科の医師にご相談ください。

