この記事のポイント
- まず結論:細気管支炎は 2歳未満に多い下気道感染症、RSウイルスが主因
- 重症サイン:陥没呼吸・SpO2低下・哺乳力低下・無呼吸
- ハイリスク児にはパリビズマブ予防、新生児ニルセビマブも導入
- 対象:0〜2歳のお子さんを持つ保護者向け
⚠️ 本記事の取り扱い
細気管支炎は 乳児で急速に悪化 することがあります。呼吸が苦しい・無呼吸・チアノーゼ は救急受診を。
受診のタイミング
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| すぐ救急(119/救急外来) | 無呼吸エピソード/陥没呼吸(みぞおち・肋骨間がへこむ)/チアノーゼ(唇・指先が青い)/意識がぼんやり/哺乳が全くできない/3か月未満の発熱・呼吸異常 |
| すぐ受診(小児科) | ぜいぜい・呼吸が苦しい/呼吸数が異常に速い/哺乳量が普段の半分以下/3か月未満の発熱 |
| 早めに受診 | 鼻水・咳が続く/微熱が続く/普段と様子が違う |
細気管支炎とは
国立感染症研究所 RSウイルス感染症 や 日本小児科学会 より:
基本
- 下気道(細気管支)の感染症
- 2歳未満に多い、特に 6か月未満
- 冬〜春が流行のピーク(夏〜秋にもシフト)
- 入院理由の上位:乳児の呼吸器疾患
原因ウイルス
| ウイルス | 割合・特徴 |
|---|---|
| RSウイルス(RSV) | 最多 |
| ヒトメタニューモウイルス(hMPV) | 2番目に多い、春に流行 |
| パラインフルエンザウイルス | |
| インフルエンザウイルス | |
| アデノウイルス | |
| ライノウイルス |
RSウイルスの特徴
- 2歳までにほぼ全員が感染
- 何度もかかる(免疫が長続きしない)
- 初感染の乳児で重症化リスク
- 大人・年長児は風邪症状
症状
国立感染症研究所 より:
典型的な経過
| 経過 | 症状 |
|---|---|
| 潜伏期 | 2〜8日 |
| 1〜3日目 | 鼻水・咳・発熱(上気道炎症状) |
| 3〜5日目 | ぜいぜい・呼吸困難のピーク |
| 5〜7日目 | 軽快に向かう |
| 7〜10日目 | 多くは完治 |
乳児の症状
- 鼻づまり・くしゃみ
- 湿った咳
- ぜいぜい・呼吸が苦しい
- 発熱(多くは微熱)
- 哺乳力低下
- 不機嫌・睡眠の乱れ
- 無呼吸(特に新生児・早産児)
「無呼吸」の警告
- 新生児・早産児で特に
- 数秒〜十数秒の呼吸停止
- 顔色不良を伴う
- すぐ救急
重症化リスク
ハイリスク群
- 3か月未満
- 早産児(特に妊娠29週未満)
- 慢性肺疾患:肺気管支異形成症(BPD)等
- 先天性心疾患(血行動態に問題)
- 免疫不全
- 神経筋疾患
- 多胎児
重症化の指標
呼吸数・呼吸様式
- 呼吸数増加(年齢別目安:別記事「小児肺炎」参照)
- 陥没呼吸:吸う時にみぞおち・肋骨間がへこむ
- 鼻翼呼吸:鼻の穴が広がる
- 唸るような呼吸
全身状態
- チアノーゼ:唇・指先が青い
- SpO2 ≤ 94%:要受診、≤90%は救急
- 哺乳力低下:普段の半分以下
- 意識の異常
- 無呼吸エピソード
治療
日本呼吸器学会 より:
基本は対症療法
- 特効薬なし(RSウイルス用の治療薬は研究段階)
- 水分補給:脱水予防
- 加湿・吸引:鼻づまり対策
- 発熱には解熱剤:アセトアミノフェン
入院加療
- 酸素投与:SpO2 維持
- 点滴・経管栄養:哺乳不良時
- モニター観察:無呼吸・SpO2
- 吸引:気道確保
抗菌薬
- 基本不要:ウイルス感染のため
- 細菌の混合感染 が疑われる場合のみ
ステロイド・気管支拡張薬
- エビデンス限定的:使用は症例選択
- 施設・医師判断で
予防
パリビズマブ(シナジス)
国立感染症研究所 より:
- RSウイルスの抗体製剤
- ハイリスク児に月1回 筋肉注射:流行期間中
- 保険適用(条件あり):
- 早産児(妊娠29週未満は1歳未満、29〜35週は6か月未満)
- 慢性肺疾患(24か月未満)
- 先天性心疾患(24か月未満)
- 免疫不全・神経筋疾患
- 流行期に合わせて開始
ニルセビマブ(新生児RSV予防)
- 2024年〜日本でも導入
- シーズン全体をカバーする1回投与の長時間作用型抗体
- 健常児も含む対象拡大
- 詳細は小児科・新生児科に相談
妊婦RSVワクチン
- 2024年に承認
- 妊娠後期に接種
- 新生児に移行抗体で保護
- 小児科・産科で相談
家庭での予防
- 手洗い・うがい
- 手指消毒:アルコール有効
- マスク:流行期の大人
- きょうだいから赤ちゃんへの感染防止
- 保育園の流行情報チェック
- 集団生活の年齢を考慮
家庭でのケア
鼻づまりへの対応
- 市販の鼻吸い器:手動・電動
- 生理食塩水点鼻
- 加湿器:50〜60%
- 頭を少し高くして寝かせる
水分補給
- 少量を頻回
- 母乳・ミルクは続ける
- 湯冷まし・経口補水液
観察ポイント
- 呼吸数・呼吸様式
- SpO2(あれば)
- 哺乳量
- おしっこの回数
- 機嫌・睡眠
やってはいけないこと
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 「ただの風邪」と乳児の咳・ぜいぜいを放置 | 急速に悪化 |
| 陥没呼吸・SpO2低下を様子見 | 酸素不足で重症化 |
| 無呼吸エピソードを軽視 | 命に関わる |
| 「3か月未満」の発熱・呼吸異常を様子見 | 迷わず受診 |
| 市販の咳止め・抗ヒスタミン薬を勝手に | 乳児に推奨されない |
| 抗菌薬を要求 | ウイルスには無効 |
| ハイリスク児なのにパリビズマブ受けず | 予防効果あり |
| 流行期の集団生活を軽視 | 感染拡大 |
よくある誤解
Q. RSウイルスは1回かかれば免疫がつく?
A. 何度もかかる、ただし年齢が上がるほど症状は軽くなる。
Q. パリビズマブは誰でも受けられる?
A. 保険適用は条件付き。早産児・心疾患・慢性肺疾患・免疫不全などが対象。
Q. RSVは大人にもうつる?
A. うつる、大人は風邪症状。乳児に再感染させる経路に。
Q. 抗菌薬は効く?
A. ウイルス感染には無効。混合感染が疑われる時のみ。
Q. ステロイド吸入は効く?
A. 明確なエビデンス限定的、使用は症例選択。
Q. 何科を受診すれば?
A. 小児科、重症は 救急外来・119、長期管理は 小児呼吸器科。
この記事の根拠
- 国立感染症研究所 RSウイルス感染症
- 日本小児科学会 子どもがかかりやすい感染症
- 日本呼吸器学会 呼吸器疾患
- 国立感染症研究所 予防接種スケジュール
まとめ
- 細気管支炎は 2歳未満に多い下気道感染症、RSウイルス が主因
- 3〜5日目に呼吸困難のピーク
- 重症サイン:陥没呼吸・SpO2低下・哺乳力低下・無呼吸
- ハイリスク児はパリビズマブで予防
- 新生児ニルセビマブ・妊婦RSVワクチン が2024年に導入
- 抗菌薬は基本不要、対症療法が中心
- 3か月未満・早産児は低い閾値で受診
大切なお知らせ:本記事は公的機関・学会の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめた一般情報です。診断・治療は必ず小児科の医師にご相談ください。

