この記事のポイント
- まず結論:とびひは細菌(黄色ブドウ球菌・溶連菌)による皮膚感染症。患部を石けんでしっかり洗い、抗菌薬軟膏を塗り、ガーゼで覆う が家庭ケアの3点セット。広範囲・発熱があれば内服が必要なので受診を
- 登園/プール:法的な出席停止はないが、患部を覆えない・滲出液が多い間 は園・プールを控えるのが原則
- 対象:1〜6歳ごろのお子さんを持つ保護者向け
すぐ受診・数日以内に相談・家庭ケアで様子見
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| すぐ受診(小児科 or 皮膚科) | 発熱を伴う/広範囲に広がっている(5cm以上 or 複数箇所)/顔・目の周りに出ている/元気がない・食欲がない/赤く腫れて熱を持つ範囲が広い |
| 数日以内に受診 | 水ぶくれが1〜2か所できた/市販の絆創膏では覆いきれない/本人がかゆがって寝られない/きょうだいに広げそう |
| 家庭ケアで様子見 | 受診済みで治療中/患部が小さく1か所のみ、本人は元気/医師の指示通り軟膏とガーゼで管理できている |
夜間・休日で判断に迷うときは #8000 に電話できます。発熱を伴う・急速に広がる時はためらわず受診を。
とびひとは
とびひ(正式名:伝染性膿痂疹)は、黄色ブドウ球菌 または 溶血性連鎖球菌(溶連菌) が皮膚の表面で増えて起こる感染症です(日本小児皮膚科学会)。
2つのタイプ
| タイプ | 原因菌 | 症状 | 季節 |
|---|---|---|---|
| 水疱性膿痂疹(一般的なとびひ) | 黄色ブドウ球菌 | 水ぶくれ→破れてただれ→かさぶた | 夏に多い |
| 痂皮性膿痂疹 | 溶連菌(または黄色ブドウ球菌) | 厚いかさぶた・赤み・発熱を伴うことも | 季節を問わず |
水疱性膿痂疹は 乳幼児に多く、夏(6〜9月)に集中。痂皮性膿痂疹は 年齢を問わず、発熱・リンパ節腫脹を伴う ことがあり、稀に急性糸球体腎炎などの合併症リスクがあります。
なぜ「とびひ」と呼ばれるか
水ぶくれの中身には大量の菌が含まれ、かきこわした手で他の場所を触ると、火事の「飛び火」のように体じゅうに広がる ことから「とびひ」と呼ばれます。
よくあるきっかけ
- 虫刺され・あせも・湿疹をかきこわす
- 転んでできた すり傷・かさぶたをいじる
- アトピー性皮膚炎 で皮膚バリアが弱っている場所
- 鼻の下を指でこする 癖(黄色ブドウ球菌が常在)
家庭でできること
治療中(受診後)の基本ケア
- 石けんで患部をやさしく洗う(菌を物理的に減らす):ゴシゴシこすらない、低刺激の石けんで泡立てて優しく洗う
- シャワーで十分に流す:洗い残しの石けんは刺激になる
- 清潔なタオルで押さえるように水分を取る:こすらない
- 処方された抗菌薬軟膏を塗る:医師の指示通り(薄く広く)
- ガーゼと医療用テープで覆う:滲出液で他の場所に広げない/本人がかきむしらないように
家庭での感染拡大予防
- タオル・寝具・衣類はきょうだいと別:菌が付着している
- タオルは毎日交換:洗濯で清潔に
- 本人の爪を短く切る:かきこわして広げる原因
- 手洗いの徹底:本人も家族も
- 入浴は本人を最後に・湯船は控える:シャワーで済ます
- きょうだいに皮膚の傷・湿疹があれば、そこに感染しないよう注意
かゆみへの対策
かきこわすと菌が広がるので、かゆみを抑える ことが大事です。
- 処方された抗ヒスタミン薬 を内服(医師の指示通り)
- 冷たいタオル で軽く冷やす(こすらない)
- 保湿剤 で乾燥によるかゆみを防ぐ(医師に確認)
- 寝る前は 手袋・薄手の靴下 を手にはめて引っかき防止
やってはいけないこと
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 水ぶくれをつぶす | 中の液には大量の菌→他の場所に飛び火する |
| 市販のステロイド軟膏を自己判断で塗る | とびひは細菌感染。ステロイドは感染を悪化させる |
| 絆創膏でぴったり密封する | 蒸れて悪化する。通気性のあるガーゼ+テープで |
| 「乾燥させれば治る」と開放する | 滲出液に触れたものを介して広がる。覆って隔離 |
| きょうだいと同じタオル・寝具 | 兄弟感染の最大の原因 |
| 湯船に一緒に入る | お湯にも菌が出る |
| 「軽そう」と1週間放置 | 広範囲化・発熱・合併症のリスクが上がる |
| 抗菌薬の内服を症状が良くなったからと自己中断 | 完全に菌が消えない、再発・耐性菌のリスク |
受診の詳しい目安
皮膚科または小児科を受診
- 水ぶくれ・じゅくじゅくしたただれが現れた(小さくても)
- かきこわして範囲が広がってきた
- 顔・目の周り・鼻の下に症状がある
- きょうだいに感染しそう・既にしている
- アトピー性皮膚炎の悪化に伴って出てきた
すぐ救急 / 夜間休日相談
- 発熱(38℃以上)を伴う
- 元気がない・食欲が極端に落ちている
- 急速に広がる(数時間で増えている)
- 赤く腫れて広範囲に熱を持つ(蜂窩織炎 の可能性)
- 顔色が悪い・ぐったり
夜間・休日は #8000 に相談できます。
受診時に持っていくもの
- 症状の写真(広がり方を示す経過)
- きょうだいに同様の症状があるか
- アレルギーの有無(薬の選択に関わる)
- 既存のアトピー性皮膚炎の治療薬
登園・登校・プールの判断
厚生労働省 保育所における感染症対策ガイドライン によれば、とびひは 学校保健安全法上の出席停止対象ではありません(条件付き出席可)。
登園・登校
- 患部をガーゼで覆えれば登園・登校可 が一般的
- 顔など覆えない部位・滲出液が多い時期 は登園を控えるのが望ましい
- 園・学校によって独自ルールがあるため必ず確認
プール・水遊び
- 完全に治癒するまではプール禁止(多くの自治体・園のルール)
- 滲出液から他児に感染する
- 海・川は判断が分かれるが、原則控える
兄弟・家族
- 同じ家庭内ではタオル・寝具・入浴を分ける
- 家族に皮膚の傷や湿疹があれば、そこにうつらないよう注意
- 親が看護で患部に触れたあとは石けんで手洗い
よくある誤解
Q. 水ぶくれをつぶせば早く治る?
A. 逆効果 です。中身には大量の菌が含まれ、他の場所に広がります。覆って・触らない・処方薬を継続が原則。
Q. ステロイド軟膏を塗れば治る?
A. 悪化します。とびひは細菌感染なので、ステロイドは免疫を抑えて菌を増やします。抗菌薬の軟膏 が正しい治療。市販品で自己判断せず受診を。
Q. 何度もとびひになります。体質?
A. 元の アトピー性皮膚炎・あせも・虫刺され がきっかけになることが多いです。基礎の皮膚状態の治療と、鼻の下に黄色ブドウ球菌が常在する ケースの対策(抗菌薬軟膏の予防的使用など)を皮膚科に相談を。
Q. 抗菌薬の飲み薬は早めにやめても大丈夫?
A. 指示された期間は飲み切る のが原則。中途半端な治療は再発・耐性菌の原因になります。
Q. プールはいつから入れる?
A. 完全に治癒(かさぶたが取れて新しい皮膚になる)してから。多くの園・自治体プールは医師の許可書を求めます。
Q. 何科を受診すれば?
A. 皮膚科 か 小児科。広範囲・発熱があれば小児科で内服を含めて診てもらうのが早いです。
この記事の根拠
- 日本小児皮膚科学会 とびひ(伝染性膿痂疹)Q&A
- 厚生労働省 保育所における感染症対策ガイドライン
- 学校保健安全法施行規則 第十九条(出席停止の期間の基準)
- こども家庭庁 こども医療電話相談事業(#8000)
まとめ
- とびひは 黄色ブドウ球菌・溶連菌 による皮膚感染症。石けん洗浄+抗菌薬軟膏+ガーゼ被覆 が家庭ケアの3点セット
- 水ぶくれをつぶさない・市販ステロイドを塗らない・タオルを分ける がNGリストの三大ポイント
- 法的な出席停止はないが、患部を覆えない・滲出液が多い 間は登園・プールを控える
- 元のあせも・虫刺され・アトピーをしっかり治療することが 予防 の第一歩
大切なお知らせ:本記事は公的機関・学会の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめた一般情報です。医療行為の指示ではありません。お子さまの個別の症状については、必ずかかりつけ医や皮膚科・小児科の医師にご相談ください。

