この記事のポイント
- まず結論:WHO・米AAP は 「絶食より早期再開」 を推奨
- 脱水予防が最優先:経口補水液(OS-1等)を少量頻回
- BRAT食(バナナ・ライス・りんご・トースト)から再開
- 対象:0〜12歳のお子さんを持つ保護者向け
⚠️ 本記事の取り扱い
下痢は 脱水で命に関わる ことがあります。半日以上おしっこなし・ぐったり は迷わず受診を。
受診のタイミング
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| すぐ救急(119/救急外来) | 半日〜1日おしっこなし/ぐったり・反応鈍い/水分が全く摂れない/血便/意識がぼんやり/3か月未満で発熱・下痢 |
| すぐ受診(小児科) | 嘔吐・下痢が続いて水分摂取困難/激しい腹痛/皮膚をつまんで戻り悪い/泣いても涙なし/1日10回以上の下痢 |
| 早めに受診 | 3日以上下痢が続く/微熱が続く/元気がない |
| 家庭ケアでOK | 嘔吐は数回で落ち着いた/水分摂取できる/元気な時間あり |
「絶食より早期再開」が現代の標準
WHO 急性胃腸炎の経口補水療法 や 米AAP より:
過去 vs 現在
| 項目 | 昔の対応 | 現代の標準 |
|---|---|---|
| 絶食期間 | 長時間絶食 | できるだけ短く |
| 再開 | 「治ってから」 | 嘔吐が落ち着いたら段階的に |
| 乳製品 | 完全禁止 | 母乳・乳児用ミルクは続ける |
| 理由 | 腸を休ませる | 早期再開で腸粘膜回復・栄養維持 |
なぜ早期再開か
- 腸の粘膜の修復に栄養が必要
- 長時間絶食は回復を遅らせる
- 「飢餓状態」を作らない
- WHOの世界的な推奨
脱水予防が最優先
消費者庁 経口補水液の適正使用 より:
経口補水液(OS-1等)
- 「病者用飲料」:WHO推奨の経口補水療法(ORT)
- 電解質・糖分のバランス が最適化
- 下痢時の水分・電解質補給 に最適
- スポーツドリンクより適切:糖分↓・電解質↑
経口補水の方法
- 少量を頻回:スプーン1杯・5〜10分おき
- 嘔吐後30〜60分は何も与えない
- 吐かなければ徐々に量を増やす
- 冷たすぎない温度
量の目安
- 乳児・幼児:体重1kgあたり 30〜50mL/日
- 「ぐびぐび大量に」より少しずつ」
- おしっこの回数で脱水評価
「スポーツドリンク」との違い
| 飲料 | 糖分 | ナトリウム | 下痢時 |
|---|---|---|---|
| 経口補水液(OS-1) | 約5g/200mL | 約300mg/200mL | ◎ |
| スポーツドリンク | 約12g/200mL | 約100mg/200mL | △(薄めて) |
| 水・お茶 | 0 | 0 | △(電解質補給なし) |
→ 下痢時は経口補水液が第一選択
BRAT食
米AAP より、伝統的な下痢時の食事:
BRAT とは
- Banana(バナナ)
- Rice(米・おかゆ)
- Applesauce(すりおろしりんご・りんごのコンポート)
- Toast(トースト)
特徴
- 消化が良い
- タンニン(りんご)で下痢を緩和
- 食物繊維が少ない(不溶性繊維↓)
- 電解質補給:バナナはカリウム豊富
「BRATだけ」は短期間
- 数日以上続けない
- 栄養バランス↓
- 症状軽快後は通常食へ
「BRAT 至上主義」ではない
- AAPは「BRAT のみが推奨」とはしていない
- 無理に「BRAT じゃないと」と思わない
- 本人が食べられる物を
段階的に通常食へ
米AAP より:
ステップ1:水分のみ(嘔吐期)
- 嘔吐30〜60分後 から経口補水液
- 少量頻回
- 吐かなければ次のステップへ
ステップ2:消化のいいもの
- おかゆ・うどん(薄味)
- 食パン
- すりおろしりんご
- バナナ
ステップ3:通常食へ
- 症状が落ち着いてから
- 「○日で完全復帰」と決めない
- 本人の食欲に合わせる
控えたい食材(下痢時)
- 脂っこいもの:揚げ物・脂身
- 乳製品(牛乳・チーズ):二次性乳糖不耐症リスク
- 食物繊維過多:生野菜・きのこ・海藻(症状悪化)
- 甘いジュース:糖分過多
- 辛い・酸っぱい:腸への刺激
乳児・授乳中の対応
母乳
- 続ける:絶食しない
- 少量頻回
- 母乳は下痢時も最適な栄養
粉ミルク
- 続ける:通常通り
- 「薄める」は推奨されない:栄養不足
- 症状で医師判断
「二次性乳糖不耐症」
- 下痢で腸粘膜が傷つく → 乳糖分解酵素↓
- 数週間で回復
- 症状が長引けば「無乳糖ミルク」を医師処方
「整腸剤」の使い方
厚生労働省 より:
処方薬
- ビオフェルミン・ミヤBM:乳酸菌・酪酸菌
- 小児科処方:適切な量で
- 「症状軽快を補助」
市販薬
- 自己判断は控える
- 小児用の用量を守る
- 下痢止め(ロペラミド等)は基本NG:感染を長引かせる
ヨーグルト
- 加熱しない・冷やしすぎない
- 少量から
- 乳製品アレルギーは除外
ロタウイルス感染後の注意
国立感染症研究所 ロタウイルス より:
ロタウイルス胃腸炎
- 乳幼児に重症化しやすい
- 下痢が1週間以上続くことも
- 白色便
- 脱水・けいれんリスク
ロタワクチン接種後
- 下痢が一時的に増える ことがある
- 接種後7日以内の腸重積リスク:稀
- 「噴水状嘔吐・血便・激痛」は腸重積疑いで救急
「下痢止め」の是非
厚生労働省 より:
基本NG
- 感染性下痢では使わない
- 感染を腸内に閉じ込める
- 症状を長引かせる
例外
- 慢性下痢:医師判断
- 「ストッパ」「正露丸」などの市販薬を急性下痢に使うのは推奨されない
やってはいけないこと
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 長時間絶食 | 腸粘膜の回復を遅らせる、WHOは早期再開推奨 |
| 嘔吐直後すぐ水を飲ませる | 再嘔吐 |
| 下痢止め(市販)を自己判断 | 感染を長引かせる |
| 乳児にミルクを薄める | 栄養不足 |
| 大量の甘いジュース | 糖分で下痢悪化 |
| 脂っこい・繊維過多 | 症状悪化 |
| 半日以上のおしっこなしを様子見 | 重度脱水・救急 |
| 発熱+血便を「胃腸炎」と決めつけ | O157 などの可能性 |
よくある誤解
Q. 「下痢の時は絶食」?
A. 誤り。WHO・米AAP は早期再開推奨。経口補水液 + 段階的に通常食。
Q. スポーツドリンクで脱水補給?
A. 下痢時は経口補水液(OS-1等)が適切、糖分が異なる。
Q. 牛乳・ヨーグルトはダメ?
A. 下痢時は乳糖を控える、ただし母乳・乳児用ミルクは続ける。
Q. 下痢止めを使うべき?
A. 基本NG、感染性下痢では症状を長引かせる。
Q. 「BRAT食じゃないとダメ」?
A. 本人が食べられる消化の良いものでOK。BRATは目安。
Q. 何科を受診すれば?
A. 小児科、重症は 救急外来・119。
この記事の根拠
- WHO 急性胃腸炎の経口補水療法
- 米国小児科学会(AAP)Diarrhea: Management in Children
- 国立感染症研究所 ロタウイルス
- 消費者庁 経口補水液の適正使用について
まとめ
- WHO・米AAP は 「絶食より早期再開」 を推奨
- 脱水予防が最優先:経口補水液(OS-1等)を少量頻回
- BRAT食(バナナ・米・りんご・トースト)から段階的に
- 乳児は母乳・粉ミルクを続ける:薄めない
- 二次性乳糖不耐症 が長引く場合は無乳糖ミルク(医師処方)
- 下痢止め(市販)は感染性では使わない
- 半日以上のおしっこなし・血便・激痛・3か月未満発熱 は救急
大切なお知らせ:本記事は公的機関・学会の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめた一般情報です。激しい症状があれば、迷わず小児科・救急にご相談ください。

