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妊娠高血圧症候群(HDP):診断基準・受診サイン・予防の生活習慣

妊娠高血圧症候群は妊娠20週以降に発症する高血圧で、母体・胎児の重大合併症(子癇・胎盤早期剥離・胎児発育不全)のリスクがあります。140/90mmHg・蛋白尿・むくみ・頭痛のサインと早期受診の目安、リスク群と予防策を整理しました。

012.kids 編集部公開: 2026-03-11更新: 2026-05-299分で読めます
情報の信頼性

情報源:日本産科婦人科学会・日本妊娠高血圧学会 ほか

作成:012.kids 編集部公開日:2026-03-11最終確認:2026-05-29参考文献:4

受診の目安

  • 高熱が続く・ぐったりしている・水分が取れない場合はすぐに受診
  • 症状が3日以上改善しない場合はかかりつけ医に相談
  • 夜間・休日の急な症状は#8000(子ども医療電話相談)

この記事は情報提供を目的としたものであり、医療上の助言ではありません。

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この記事のポイント

  • まず結論:妊娠高血圧症候群(HDP)は 妊娠20週以降に発症する高血圧 で、放置すると母体・胎児に重大な合併症リスク
  • 要受診サイン:血圧 140/90mmHg以上強い頭痛・視覚異常・上腹部痛急なむくみ・体重増加 → すぐ産科へ
  • 予防:適正体重維持・塩分制限・定期妊婦健診の継続
  • 対象:妊娠中・妊娠を計画している女性、その家族向け

⚠️ 本記事の取り扱い

妊娠高血圧症候群は 母体死亡・胎児死亡につながる可能性のある重要疾患 です。本記事は 「受診のタイミングを判断する補助」 が目的であり、診断・治療は必ず医療機関で行われます。

まず受診のタイミング

状況 対応
すぐ救急・かかりつけ産科へ電話 強い頭痛(鎮痛薬で取れない)/目のかすみ・閃光が見える(視覚異常)/みぞおち〜右上腹部の痛み意識朦朧・けいれん急激なむくみと体重増加(1週間で2kg以上)/血圧 160/110mmHg以上
その日のうちに産科 血圧 140/90mmHg以上の自己測定値/健診で「血圧が高い」「尿蛋白あり」と指摘/頭痛・むくみが続く
健診で経過観察 軽い症状で医師の指示で経過観察中/生活指導の範囲内

夜間・休日で判断に迷うときは #8000(小児医療電話相談)ではなく、かかりつけ産科の夜間連絡先 に電話してください。

妊娠高血圧症候群(HDP)とは

日本産科婦人科学会 によれば、妊娠20週以降に高血圧が発症 する状態の総称。

定義の改訂(2018年)

日本妊娠高血圧学会 が2018年に定義を改訂:

  • 妊娠20週以降に新たに高血圧が発症
  • 蛋白尿の有無を問わず、他の合併症(肝機能・腎機能異常・神経症状・凝固異常・胎児発育不全)があれば診断
  • HDP(Hypertensive Disorders of Pregnancy) の英略称が使われる

種類

タイプ 内容
妊娠高血圧症 蛋白尿なし、高血圧のみ
妊娠高血圧腎症(子癇前症) 高血圧 + 蛋白尿(または他の臓器障害)
加重型妊娠高血圧腎症 もともと高血圧・腎疾患があった人が悪化
高血圧合併妊娠 妊娠前から高血圧あり

血圧の数値基準

  • 軽症:140/90mmHg以上
  • 重症:160/110mmHg以上(救急対応の対象)

なぜ怖いか:母体・胎児の重大合併症

母体側

  • 子癇発作(けいれん):意識消失・脳出血のリスク
  • HELLP症候群:肝機能・血小板減少・溶血の重い合併症
  • 肺水腫:呼吸困難
  • 腎不全
  • 脳出血:致死的合併症
  • 胎盤早期剥離:分娩前に胎盤が剥がれて大量出血

胎児・新生児側

  • 胎児発育不全(FGR):胎盤機能低下で栄養が届かない
  • 羊水過少
  • 胎児機能不全:低酸素状態
  • 早産(治療で出産を早める必要がある)
  • 胎児死亡:最重症例

リスク因子

国立成育医療研究センター 等で示されているリスク:

カテゴリ リスク因子
年齢 40歳以上、特に高齢妊娠
体重 肥満(BMI 25以上)
既往歴 高血圧、糖尿病、腎疾患
過去の妊娠 HDP既往、胎盤異常
今回の妊娠 多胎妊娠、初産
家族歴 妊娠高血圧症候群、高血圧の家族歴

リスクが複数あれば、妊娠初期から特に注意した管理 が必要。

早期発見のポイント:妊婦健診と家庭での観察

妊婦健診で必ずチェックされる項目

妊婦健診 ごとに以下を確認:

  • 血圧測定:毎回
  • 尿蛋白チェック:尿試験紙で
  • 体重測定:急激な増加に注意
  • むくみの観察:足のむこうずね・顔
  • 胎児の発育:腹部超音波

定期健診をスキップしないことが 最大の予防策

家庭での観察ポイント

自宅血圧測定

リスクが高い妊婦は 自宅での血圧測定 を医師から指示されることも:

  • 朝・夜の2回
  • 同じ時間・同じ姿勢
  • 記録ノートをつける
  • 140/90mmHg以上が続く → 産科に連絡

自覚症状

注意すべき症状 意味
頭痛(鎮痛剤で取れない、ズキズキ) 血圧上昇のサイン
目のかすみ・閃光・視野欠損 視野・脳の合併症リスク
みぞおち〜右上腹部の痛み HELLP症候群の可能性
急激なむくみ(1日で顔が変わる) 急速進行のサイン
1週間で2kg以上の体重増加 浮腫・腎機能低下
吐き気・嘔吐(妊娠後期に出てきた) 妊娠悪阻ではなく重症化

これらが出たら すぐ産科 に電話・受診。

治療と管理

軽症(外来管理)

  • 食事指導:塩分制限(6g/日以下)、適正カロリー
  • 体重管理
  • 安静
  • 定期受診(週1回など頻回)
  • 降圧薬:α-メチルドパ、ヒドララジン、ニフェジピン等(医師が選択)

重症(入院)

  • 入院での厳密管理
  • 降圧薬の静脈点滴
  • 子癇予防の硫酸マグネシウム
  • 早期分娩の検討:母体・胎児の状態次第
  • 帝王切開 での分娩が多い

分娩後の経過

  • 多くは 分娩後 6週以内 に血圧が正常化
  • 一部は 長期的に高血圧が続く
  • 将来の高血圧・心血管疾患リスク が上がる
  • 次の妊娠での再発リスク も高め

家庭でできること(予防)

妊娠前

  • 適正体重の維持(BMI 18.5〜24.9)
  • 高血圧の早期発見・治療
  • 持病(糖尿病・腎疾患)の管理
  • 禁煙・節酒

妊娠中

  • 塩分6g/日以下(薄味の習慣)
  • バランスの良い食事:野菜・タンパク質・果物
  • 適度な運動:医師許可の下、ウォーキング等
  • 適正な体重増加:医師指示の範囲内
  • 十分な睡眠:7〜8時間
  • ストレス管理
  • 定期妊婦健診を欠かさない

食事のポイント

推奨 制限
野菜・果物(カリウム) 加工食品(高塩分)
魚(DHA・EPA) 漬物・つくだ煮・梅干し
大豆製品 即席麺・スナック
全粒穀物 外食の頻度を減らす

やってはいけないこと

やってはいけないこと 理由
妊婦健診をスキップ 早期発見の最大の機会を失う
「むくみは妊娠中だから当たり前」と放置 急激な進行は HDP のサイン
強い頭痛を「妊娠中だから」と我慢 子癇発作の前兆の可能性
自己判断で塩分制限を極端に 脱水・電解質異常のリスク。医師指導を
降圧薬を「赤ちゃんに影響がありそう」と自己中断 妊娠で使える安全な薬がある。医師指示を守る
重症化の指示「入院」を断る 母体・胎児の命に関わる
既往があるのに次の妊娠の準備をしない 妊娠前から内科・産科で管理を
「家族歴があるけど自分は大丈夫」と思い込む リスクが複数なら特に注意

よくある誤解

Q. 妊娠中の高血圧は出産すれば治る?

A. 多くは治る が、長期的に高血圧が続く・将来 心血管疾患リスクが上がる 場合もあります。産後も健診を続けてください。

Q. むくみは全部 HDP?

A. 生理的なむくみ も多い(足だけ・夕方に強い等)。急激な進行・顔・全身に広がる・体重増加を伴う ものは要受診。

Q. 降圧薬は赤ちゃんに影響?

A. 妊娠中に使える安全な降圧薬 があります(α-メチルドパ等)。自己判断で薬を中断するリスクの方が大きいです。

Q. 次の妊娠で再発しますか?

A. HDP既往は次回妊娠の再発リスクが高い。妊娠前から内科・産科で計画的な管理を。

Q. 何科を受診すれば?

A. 産科。妊婦健診を受けている施設に相談、必要なら 総合周産期母子医療センター など高次施設に紹介されます。

Q. 子癇発作とは?

A. HDP の重症化で起こる けいれん発作。意識消失・脳出血のリスクがあり、母体死亡の原因にもなる重大な合併症です。

この記事の根拠

  • 日本産科婦人科学会 妊娠高血圧症候群
  • 日本妊娠高血圧学会
  • 国立成育医療研究センター 妊娠高血圧症候群(HDP)
  • 妊娠高血圧症候群の定義・分類(2018年改訂)

まとめ

  • 妊娠高血圧症候群(HDP)は 妊娠20週以降 に発症する高血圧、母体・胎児に重大合併症リスク
  • 140/90mmHg以上・蛋白尿・頭痛・むくみ・上腹部痛 が要受診サイン
  • 重症(160/110mmHg以上、強い頭痛、視覚異常)は救急受診
  • 予防:適正体重・塩分6g/日以下・定期健診・適度な運動
  • HDP既往は次回妊娠で再発リスク、長期の高血圧管理も必要
  • 妊婦健診をスキップしないことが最大の予防策

大切なお知らせ:本記事は公的機関・学会の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめた一般情報です。診断・治療は必ず医療機関で行われます。妊娠高血圧症候群は母体・胎児の命に関わる可能性のある重要疾患 です。気になる症状があれば、迷わずかかりつけ産科を受診してください。

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