この記事のポイント
- まず結論:作文苦手は 「書く前に話せていない」 が大半の原因
- 三部構造:はじめ(言いたいこと)→ なか(理由・例)→ まとめ(くりかえし)
- 親子の対話 で内容を引き出すのが最強のサポート
- 対象:小学生のお子さんを持つ保護者向け
なぜ作文が苦手なのか
各種教育情報 や教育現場の声をまとめると、主な原因は:
5つの典型的な原因
| 原因 | 内容 |
|---|---|
| 書くことが思いつかない | 体験・感想を言葉にできない |
| 構成が分からない | どう書き始めるか、どう終わるか |
| 語彙が足りない | 言いたい気持ちを表す言葉を知らない |
| 書字そのものが苦痛 | 字を書くのが疲れる・遅い |
| 完璧を求めすぎ | 上手く書こうとして1文字も書けない |
多くは 「書く前に話せていない」 が根本。話せていないものは書けません。
学習指導要領の方針
文部科学省 学習指導要領 国語 では、「B 書くこと」 として以下を明記:
- 自分の思いや考えが明確になるように文章の構成を考えること
- 目的や意図に応じて書くこと
- 段階的に発展(小1〜小6)
つまり 「構成を考える力」が指導目標。家庭でもこの観点でサポートできます。
「三部構造」で構成の不安を消す
説明文や意見文の基本構造:
| 構成 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| はじめ | 何が言いたいか宣言 | 「ぼくは○○が好きです」 |
| なか | 理由や具体例(できれば3つ) | 「理由は1つ目に〜、2つ目に〜、3つ目に〜」 |
| まとめ | 言いたいことをもう一度 | 「だからぼくは○○が好きです」 |
具体例:「夏休みの思い出」
はじめ:「ぼくは夏休みに、海でつかまえたカニが一番のおもいでです」
なか:
- 1つ目:はじめてカニを見つけた時のドキドキ
- 2つ目:手で持つと挟まれそうで怖かったこと
- 3つ目:水槽で観察したらかわいく見えてきたこと
まとめ:「だから、海でつかまえたカニが夏休みの一番のおもいでです」
三部構造のフレームに沿うだけで 「何を書けばいいか分からない」が消える のが最大の効果。
親子の対話で内容を引き出す
ハグクム・教育情報 等で繰り返し勧められる方法:
質問の階層
子どもが「書くこと思いつかない」と言ったら、親が質問で引き出す:
-
広い質問 → 狭い質問へ
- 「今日の運動会、どうだった?」(広い)
- 「どの種目が一番楽しかった?」(具体的)
- 「リレーで一番ドキドキしたのはいつ?」(さらに具体的)
-
エピソードを掘り下げ
- 「その時、何が見えた?」
- 「どんな音がした?」
- 「どんな気持ちだった?」
- 「お友達は何て言ってた?」
-
本人の言葉を書き留める
- 親がメモを取る
- 子どもが話したことをそのまま書けばよい
- 書く前にネタが揃っている状態 を作る
対話で気をつけること
- ❌「もっと面白いことなかったの?」→ 否定しない
- ⭕「それ、面白いね!もっと教えて」→ 興味を示す
- ❌「で?それで?」→ 急かさない
- ⭕「あの時、〜って言ってたよね」→ 思い出させる
題材の選び方
書きやすい題材
| 種類 | 例 | おすすめ度 |
|---|---|---|
| 大好きなこと・もの | 好きな食べ物、ペット、習い事 | ⭕ |
| 最近の出来事 | 運動会、遠足、お祭り | ⭕ |
| 驚いた・困った話 | 道に迷った、虫を見つけた | ⭕ |
| 家族・友達との思い出 | お母さんと作った料理 | ⭕ |
| 大きな抽象テーマ | 「平和について」「夢」 | × 低学年では難しい |
書きにくい題材の対処
学校から「テーマ自由」と言われて困った時:
- 3つ候補を出して選ばせる
- 本人の興味を聞いてから決める
- 写真・絵を見ながら決める
原稿用紙の使い方(基本ルール)
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 題名 | 上から3マス空けて書く |
| 名前 | 題名の次の行、下を1マス空ける |
| 書き出し | 1マス空けて書き始める |
| 段落分け | 段落の最初は1マス空ける |
| 句読点(。、) | 1マスに収める、行の頭にはこない(前の行の最後に) |
| 「」(カギかっこ) | 1マスに1つ |
| 小さい字(っ、ょ等) | 1マスに収める |
学年別の目安
- 小1〜2:原稿用紙1〜2枚(200〜400字)
- 小3〜4:2〜3枚(400〜600字)
- 小5〜6:3〜4枚(600〜800字)
家庭でできる作文力アップ習慣
毎日の対話
- 「今日の出来事ベスト3」 を聞く
- 「面白かった理由」 を深掘り
- 家族の食卓で会話:作文の素材集め
- 絵本の読み聞かせ後の感想 を聞く
週末の習慣
- 日記:書きたい日だけでもOK
- 絵日記:絵 → 説明文 の順
- 「3行でまとめる」 練習:今日のいいこと
道具・環境
- 専用のノート:本人が選んだお気に入り
- 書きやすい鉛筆
- 静かな場所
つまずきパターンと対処
「何も思いつかない」
→ 親子の対話で素材集め。書く前に話す習慣を。
「短くしか書けない」
→ 「もっと詳しく」と聞き出す:「どんな?」「どうして?」「その後は?」
「字が嫌い・書くのが疲れる」
→ 書き始めは短く・楽しく。書字の困難なら学校相談を。
「ありきたりで面白くない」と本人が感じる
→ 「面白いか」より「本当の気持ち」。立派より素直さ。
「『楽しかったです』で終わる」
→ 「何が楽しかった?」「なんで楽しかった?」 を質問。気持ちの理由を言葉に。
やってはいけないこと
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 親が文を直す | 自分の文ではなくなる、達成感が減る |
| 「下手」「うまく書きなさい」と評価 | 書く意欲を奪う |
| 書く前から完璧を求める | 1文字も書けなくなる |
| 「何でも書ける子」と比較 | 自尊心を損なう |
| 手伝いすぎ | 自立心が育たない |
| 無理に書かせる | 拒否感を強化 |
| 本人の選んだ題材を否定 | 興味を否定すると書く力が育たない |
| 長文を一気に要求 | 短くてもいいから完成体験を |
学校との連携
担任との相談
- 作文の困りごと を共有
- どの部分でつまずくか を質問
- 書字に課題 がある場合は配慮を依頼
スクールカウンセラー
- 書字の困難が著しい 場合
- 「書くことへの強い嫌悪」 がある場合
読み書きの困難(LD等)
- 1年以上の取り組みでも 全く書けない・字を読めない
- → 発達特性の評価 を検討
- 専門の教育的支援が大きな改善につながる場合あり
よくある誤解
Q. 作文が下手なのは将来困る?
A. 小学生のうちは「書く楽しさ」優先。技術は後からついてきます。
Q. 親が見本を書いて教えるべき?
A. 直接書いてあげるのは NG。「こんな書き方もあるよ」と例を口頭で示すぐらいに。
Q. 短い作文しか書けない
A. 学年相応の量に達していれば問題なし。内容の質を重視。
Q. 「いつまでに○枚」と決めるべき?
A. 時間で区切る方が良い(30分等)。枚数のプレッシャーは逆効果。
Q. AIに頼ってもいい?
A. 小学生のうちは自分で書く経験 が大事。AIは中学生以降の壁打ち相手として(別記事「AIチャットボットと子ども」を参照)。
Q. 何科を受診すれば?
A. 書字に著しい困難があれば 小児科・小児神経科 で発達特性の評価。
この記事の根拠
- 文部科学省 小学校学習指導要領 国語
- 文部科学省 小学校学習指導要領
- 国立教育政策研究所
まとめ
- 作文苦手は 「書く前に話せていない」 が根本原因
- 三部構造(はじめ・なか・まとめ)で構成の不安を消す
- 親子の対話で内容を引き出す のが最強のサポート
- 題材は 大好きなこと・最近の出来事 から
- 質より量より「楽しさ」:技術は後からついてくる
- 親が文を直さない、評価しない
- 著しい困難が続けば 学校相談・発達特性の評価
大切なお知らせ:本記事は文部科学省・公的教育情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめた一般情報です。お子さまの個別の学習状況については、担任やスクールカウンセラーにご相談ください。

