この記事の3つのポイント
子どもの鉄分不足が深刻:貧血を防ぐ食事と摂取のコツについて、厚生労働省・日本小児科学会の情報をもとにまとめました。
- 結論から言うと:乳幼児期と思春期は鉄欠乏になりやすい時期です。特に生後9ヶ月〜2歳は母体由来の貯蔵鉄が枯渇し、離乳食からの鉄分摂取が追いつかないことが多く、日本の乳幼児の約5〜10%に鉄欠乏性貧血がみられるとされています。
- ただし注意点も:鉄分は「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」で吸収率が大きく異なります。食べ合わせの工夫で吸収率を高めることが重要です。サプリメントの自己判断使用は過剰摂取のリスクがあるため、医師に相談してください。
- 対象年齢:0〜2歳のお子さんを持つ保護者向け(離乳期〜幼児期が特に重要)
各機関の見解を比較
| 立場 | 機関・出典 | 見解の要旨 |
|---|---|---|
| 食事での対応 | 厚生労働省 | 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で年齢別の鉄分推奨量を設定。離乳後期以降は鉄分を意識した食事設計が必要。 |
| 医学的管理 | 日本小児科学会 | 乳幼児健診での貧血スクリーニングの重要性を指摘。Hb値11g/dL未満で鉄欠乏性貧血と判定し、鉄剤投与を検討。 |
| 栄養基準 | 厚生労働省 | 食事摂取基準において、乳児後期(9〜11ヶ月)の鉄分推奨量を5.0mg/日と設定。フォローアップミルクの活用も選択肢の一つ。 |
詳しい解説
なぜ子どもは鉄分が不足しやすいのか
赤ちゃんは胎児期に母体から鉄を受け取り、「貯蔵鉄」として体内に蓄えます。この貯蔵鉄は生後約6ヶ月で使い切ります。
鉄分不足が起きやすい3つの時期:
| 時期 | 理由 |
|---|---|
| 生後9ヶ月〜2歳 | 貯蔵鉄の枯渇+離乳食だけでは鉄分が不足しやすい+急速な体の成長 |
| 学童期(6〜9歳) | 体の成長に伴い鉄需要が増加。偏食や少食の場合にリスクが高まる |
| 思春期(10〜12歳〜) | 第二次性徴による急激な成長+女子は月経開始で鉄損失が増加 |
鉄欠乏性貧血の症状チェック
鉄欠乏はゆっくり進行するため、気づきにくいのが特徴です。
乳幼児のサイン:
- 顔色が悪い(唇やまぶたの裏が白っぽい)
- 機嫌が悪い、ぐずりやすい
- 食欲がない、食が細い
- 動きが鈍い、あまり遊ばない
- 氷や土など食べ物でないものを口にする(異食症)
学童期のサイン:
- 疲れやすい、持久力がない
- 集中力が続かない、学力低下
- 立ちくらみ、めまい
- 朝起きられない
- 爪がスプーン状に反り返る(さじ状爪)
年齢別の鉄分推奨量
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」に基づく値です。
| 年齢 | 推奨量(男子) | 推奨量(女子) |
|---|---|---|
| 6〜11ヶ月 | 5.0mg/日 | 4.5mg/日 |
| 1〜2歳 | 4.5mg/日 | 4.5mg/日 |
| 3〜5歳 | 5.5mg/日 | 5.5mg/日 |
| 6〜7歳 | 5.5mg/日 | 5.5mg/日 |
| 8〜9歳 | 7.0mg/日 | 7.5mg/日 |
| 10〜11歳 | 8.5mg/日 | 8.5mg/日(月経あり12.0mg) |
ヘム鉄 vs 非ヘム鉄:吸収率が5倍違う
鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があり、吸収率が大きく異なります。
| ヘム鉄 | 非ヘム鉄 | |
|---|---|---|
| 吸収率 | 15〜25% | 2〜5% |
| 含まれる食品 | 肉・魚(動物性食品) | 野菜・大豆・海藻(植物性食品) |
| 特徴 | 他の栄養素の影響を受けにくい | ビタミンCと一緒に摂ると吸収率アップ |
鉄分が多い食材ランキング
ヘム鉄が豊富な食材(動物性):
| 食材 | 鉄分量(100gあたり) | 離乳食への取り入れやすさ |
|---|---|---|
| 豚レバー | 13.0mg | △(下処理が手間、離乳後期から) |
| 鶏レバー | 9.0mg | △(ペーストにして離乳後期から) |
| 赤身牛肉 | 2.7mg | ○(ひき肉が使いやすい) |
| かつお | 1.9mg | ○(たたきを加熱して) |
| まぐろ赤身 | 1.1mg | ○(刺身用を加熱して) |
非ヘム鉄が豊富な食材(植物性):
| 食材 | 鉄分量(100gあたり) | 子どもの食べやすさ |
|---|---|---|
| 小松菜 | 2.8mg | ○(味噌汁やおひたしに) |
| ほうれん草 | 2.0mg | ○(茹でてアク抜き必須) |
| 納豆 | 3.3mg | ◎(そのまま食べられる) |
| 豆腐(木綿) | 1.5mg | ◎(離乳中期から使える) |
| ひじき(乾燥) | 6.2mg | ○(煮物やサラダに) |
吸収率を高める食べ合わせ
鉄分の吸収を「高める」組み合わせ:
- ビタミンC + 非ヘム鉄:ほうれん草のおひたし + レモン汁、納豆 + トマト
- 動物性たんぱく質 + 非ヘム鉄:豆腐ハンバーグに挽き肉を混ぜる
- クエン酸 + 鉄分:鉄分の多いおかず + 酢の物
鉄分の吸収を「妨げる」組み合わせ:
- タンニン(お茶・紅茶):食事中のお茶は鉄の吸収を30〜60%阻害する報告あり
- フィチン酸(玄米・全粒粉):鉄と結合して吸収を妨げる
- カルシウム(牛乳):大量に同時摂取すると鉄の吸収を阻害
食事中の飲み物は水か麦茶がベストです。牛乳は食事の30分以上前後にずらすとよいでしょう。
フォローアップミルクの活用
フォローアップミルクは9ヶ月頃から使え、100mlあたり約1.0〜1.3mgの鉄分を含みます。
活用が向いているケース:
- 離乳食の食べが悪く、肉や魚をあまり食べない
- 牛乳ばかり飲んで食事量が減っている(牛乳は鉄分が少ない)
- 離乳食のバリエーションが少なく鉄分摂取に不安がある
注意点:
- フォローアップミルクは母乳や育児用ミルクの代替ではない
- あくまで離乳食の補助として使う
- 食事が十分に食べられているなら必須ではない
年齢別の実践メニュー例
離乳後期(9〜11ヶ月):
- レバーペースト入りおかゆ
- ほうれん草としらすの和え物
- 赤身まぐろのすりつぶし
幼児期(1〜3歳):
- レバー入りミートソーススパゲッティ
- 小松菜とツナの炒め物
- ひじき入り豆腐ハンバーグ
- きな粉入りホットケーキ
学童期(6〜12歳):
- 牛赤身肉のステーキ + ブロッコリー(ビタミンC)
- あさりの味噌汁
- 納豆 + トマトのサラダ
- レバニラ炒め
検査のタイミング
以下の場合は小児科で血液検査を:
- 上記の貧血症状が2週間以上続く
- 乳幼児健診で顔色の悪さを指摘された
- 極端な偏食が続いている
- 早産児・低出生体重児(貯蔵鉄が少ない)
- 牛乳を1日500ml以上飲む習慣がある(牛乳貧血のリスク)
検査項目:
- Hb(ヘモグロビン):11g/dL未満で貧血
- フェリチン(貯蔵鉄):12ng/mL未満で鉄欠乏
- MCV(赤血球の大きさ):低値で鉄欠乏を示唆
フェリチンが低下していてもHbは正常な「隠れ鉄欠乏(潜在性鉄欠乏)」の段階で対応できると理想的です。
相談できる窓口
| 窓口 | 連絡先 | 対応時間 |
|---|---|---|
| こどもの救急 | #8000 | 夜間・休日 |
| 児童相談所 | 189 | 24時間 |
| 子育て支援センター | お住まいの市区町村 | 平日日中 |
| かかりつけ小児科 | ー | 診療時間内 |
この記事のまとめ
子どもの鉄分不足について、厚生労働省と日本小児科学会の情報をもとに解説しました。
ポイントの振り返り:
- 生後9ヶ月〜2歳と思春期は特に鉄欠乏に注意が必要
- ヘム鉄(肉・魚)は吸収率が非ヘム鉄の約5倍
- ビタミンCとの組み合わせで非ヘム鉄の吸収率がアップ
- 食事中の飲み物は水か麦茶がベスト(お茶のタンニンは鉄吸収を阻害)
- 気になる症状があれば小児科で血液検査を
鉄分は「意識して摂らないと不足しやすい栄養素」です。特別な食材を使う必要はなく、日々の食事にレバー・赤身肉・小松菜・納豆などを少しずつ取り入れることで、十分に対応できます。
大切なお知らせ: この記事は公的機関の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめたものです。お子さまの個別の状況については、かかりつけ医や専門家にご相談ください。

