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9〜10歳💚メンタル・心理

子どものトラウマケア:災害・事故・喪失・虐待──PTSDの見分け方と『安心・つながり・コントロール感』の3要素

子どものトラウマは災害・事故・喪失・暴力・虐待など多様。多くは時間と支援で回復するが、3か月以上の強い症状はPTSDの可能性。WHO/AAPが推奨するTF-CBT、家庭でできる『安心・つながり・コントロール感』の回復3要素、専門治療機関まで整理しました。

012.kids 編集部公開: 2026-03-11更新: 2026-06-098分で読めます
情報の信頼性

情報源:厚生労働省・国立成育医療研究センター・日本小児科学会・日本トラウマティック・ストレス学会 ほか

作成:012.kids 編集部公開日:2026-03-11最終確認:2026-06-09参考文献:4
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この記事のポイント

  • まず結論:多くのトラウマ反応は 「安心・つながり・コントロール感」 の回復で改善
  • PTSDの目安3か月以上 強い症状が続く場合
  • 専門治療TF-CBT(トラウマ焦点化認知行動療法) など
  • 対象:災害・事故・喪失・虐待を体験した子の保護者向け

⚠️ 本記事の取り扱い

トラウマは 専門医療と社会的支援を要する 領域です。本記事は 一般情報、診断・治療は必ず児童精神科・小児科のトラウマ専門医と相談してください。

親のリアルな本音

「震災のあと、子が夜中に泣き叫ぶ。フラッシュバック?」

「祖父が亡くなって 2か月、いまだに祖父の話を避ける。普通?」

「『あの時の話』だけは絶対しない。心配だけど聞き出すのも怖い」

SNSや支援コミュニティでよく聞かれる本音です(編集部が想定した典型例として整えています)。親自身もトラウマの渦中にいる ことが多い領域です。

受診のタイミング

状況 対応
すぐ受診(児童精神科・トラウマ専門外来・救急) 解離(記憶が飛ぶ・別人格様)/自傷/激しい不眠・悪夢/希死念慮/幻覚様体験/食欲廃絶
早めに相談(小児科・SC・児童精神科) 3か月以上 強い症状が続く/登校・社会生活に重大な支障/激しい回避(場所・人・話題)/感覚麻痺(無気力・無感動)
見守り・家庭ケアでOK 数週間の悪夢・退行/親と一緒なら大丈夫/徐々に改善している

子どものトラウマとは

国立成育医療研究センター 子どものこころの診療日本トラウマティック・ストレス学会 より:

トラウマ体験の定義(DSM-5要約)

  • 実際の・脅威となる死、重傷、性的暴力 への曝露
  • 直接体験/目撃/近親者の体験を知る/繰り返し曝露

子どもがトラウマを受けやすい状況

カテゴリ
自然災害 地震・津波・台風・洪水
事故 交通事故・転落・火災
喪失体験 家族・友人・ペットの死
暴力体験 いじめ・体罰・暴行
虐待 身体的・心理的・性的・ネグレクト
病気・入院 重い病気・痛みを伴う処置
離別 離婚・転校・引越し
間接体験 報道・SNSで他者の被害を知る

「Big T」と「small t」

  • 大きなトラウマ(Big T):災害・事故・虐待など明確なもの
  • 小さなトラウマ(small t):日常的な傷つき・喪失の積み重ね
  • 両方ケアが必要

トラウマ反応の年齢別特徴

日本小児科学会 より:

0〜2歳

  • 泣く・睡眠の乱れ・食欲低下
  • 退行:哺乳瓶・抱っこ要求
  • 過度の警戒
  • 言葉での説明困難

3〜6歳

  • 再現遊び:体験を遊びで繰り返す
  • 悪夢・夜驚
  • 退行・分離不安
  • 頭痛・腹痛などの身体症状
  • 「お化けが来る」等の表現

学童期(6〜12歳)

  • 詳細を話せるが避けることも
  • 集中力低下・学力低下
  • 怒り・攻撃性
  • 罪悪感:「自分のせいで」
  • 身体症状
  • 「もう起こらない」と確認したがる

思春期

  • 大人と近い症状:再体験・回避・覚醒亢進・気分低下
  • 危険行動:自傷・薬物・性的逸脱
  • 抑うつ・希死念慮
  • 孤立

PTSD(心的外傷後ストレス障害)

日本トラウマティック・ストレス学会 より、PTSDの4症状群(DSM-5):

4症状群

① 再体験症状

  • フラッシュバック(突然鮮明によみがえる)
  • 悪夢
  • 心理的・身体的反応

② 回避

  • 関連する場所・人・話題を避ける
  • 「思い出さない」努力

③ 認知と気分の変化

  • 「自分のせい」「世界は危険」
  • 興味喪失・孤立感
  • 感覚麻痺

④ 覚醒亢進

  • イライラ・怒り
  • 過剰な警戒
  • 集中困難
  • 睡眠障害

診断の目安

  • 1か月以上 症状が持続
  • 生活に重大な支障
  • 子どもの場合、症状の表れ方は大人と異なることがある

3か月以上強い症状 なら専門評価を強く推奨。

「みんな同じ反応」ではない

  • 同じ体験でもPTSD発症率は異なる
  • 個人差・家族支援の質・既往 で違う
  • 「弱いからではない」 ことを家族で共有

回復の3要素:安心・つながり・コントロール感

厚生労働省 災害時の心のケア の支援指針より:

① 安心(Safety)

  • 物理的安全の確保:危険のない環境
  • 生活リズムの安定:寝る・食べる時刻を固定
  • 見通しの提示:「次は○○」を予告
  • 「もう大丈夫」を体で伝える

② つながり(Connectedness)

  • 家族・親しい人との関係維持
  • 抱きしめる・手をつなぐ
  • 「一人じゃない」を繰り返す
  • 学校・園との連携

③ コントロール感(Self-efficacy)

  • 「自分で選べる」体験
  • 小さな成功体験
  • 「無力ではない」を体感
  • 本人の主体性を尊重

この3要素は WHO・米国小児科学会(AAP)等の災害支援指針 でも共通の基本。

家庭でできる関わり

話を聞く時のコツ

  • 無理に話させない
  • 本人が話したい時に
  • 「うん、それで?」と相槌
  • 感情を受け止める:「怖かったね」
  • 「あなたは悪くない」を繰り返す

沈黙の尊重

  • 「話したくない」を尊重
  • 絵・遊び・体を動かす ことで表現も
  • 無言で隣にいる だけでも価値

再現遊び

  • 子は 遊びの中でトラウマを処理 することがある
  • 「災害ごっこ」「事故ごっこ」を無理に止めない
  • 遊びを通して気持ちを言葉にする
  • 一方、苦痛が強そうなら専門家へ

日常生活の維持

  • 食事・睡眠・遊びを普段通り
  • 学校・園に戻れる範囲で
  • 「特別扱い」しすぎない:腫れ物に触る扱いはNG
  • 「あなたは大丈夫」を行動で

NGな関わり

NG関わり 理由
無理に話させる 再トラウマ化
「忘れなさい」と言う 感情を否定
「あなたが○○したから」と責める 罪悪感を強化
腫れ物に触る扱い 「自分は特別に弱い」と学ぶ
過度に守ろうとする 自己効力感↓
親の不安を子にぶつける 二次的に不安に
詳細を周囲に話す プライバシー侵害
「もう乗り越えた」と急がせる 回復ペースを乱す

専門治療

TF-CBT(トラウマ焦点化認知行動療法)

日本トラウマティック・ストレス学会 で推奨される子どもへのエビデンスのある治療:

  • 6〜18歳が主対象
  • 8〜16セッション程度
  • 本人 + 保護者 で受ける
  • 心理教育・リラクセーション・認知処理・トラウマナラティブ 等で構成

他の心理療法

  • EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法):エビデンスあり
  • 遊戯療法:幼児向け
  • 家族療法:家族関係に介入

薬物療法

  • 第一選択ではない
  • 重症例で限定的に:不眠・不安が強い場合
  • 必ず専門医の管理下で

受診先

  • 小児科 が入口
  • 児童精神科
  • 子どものこころ専門外来
  • トラウマ専門外来
  • 国立成育医療研究センター 等の高度専門医療機関

虐待への特別な対応

虐待の被害が疑われる場合:

通告先

  • 189(児童相談所虐待対応ダイヤル) ※24時間対応
  • 児童相談所
  • 警察(緊急時)

親としての対応

  • 被害を疑ったら即動く
  • 「証拠」を待たない:通告は義務
  • 加害が家族内であれば物理的に離す
  • 医療と並行して支援機関に

詳しくは別記事「子どもの虐待・通告ガイド」も参照(虐待対応に特化した相談ライン)。

親自身のケア

子のトラウマケアには 親の安定が必須

  • 親自身がトラウマケアを受ける
  • 「強くいなければ」を捨てる
  • 支援者・友人を頼る
  • **必要なら 精神科・カウンセリング
  • 家族会・自助グループ

やってはいけないこと

やってはいけないこと 理由
無理に話させる 再トラウマ化
「忘れなさい」「気にするな」 感情を否定、孤立
「あなたのせい」と責める 罪悪感強化
詳細を周囲に話す プライバシー侵害・SNSはNG
過度に守る・腫れ物扱い 自己効力感↓
「もう乗り越えた」と急がせる 回復ペース乱れ
専門治療を「気のせい」で先送り PTSD固定化
親自身のケアを放置 家族全体の機能低下

よくある誤解

Q. 「子どもは忘れるから大丈夫」?

A. 誤り。子どもの方が長く影響を受けることもある。表現が違うだけで体験は深く残る。

Q. 思い出さない方が回復が早い?

A. 回避は症状の一つ。適切な治療で 処理する ことで回復。

Q. PTSDは何か月で診断?

A. 1か月以上の持続 + 生活への支障 が目安。3か月以上強ければ専門評価を。

Q. 「もう乗り越えた」と本人が言う、本当?

A. 本人の言葉を信じつつ、サインを観察。睡眠・食欲・行動の変化に注意。

Q. 親も話を聞くべき?

A. 聞き役 + 受け止め役。解決はせず、専門家に橋渡し。

Q. 何科を受診すれば?

A. 小児科 が入口、児童精神科・トラウマ専門外来・子どものこころ専門外来。虐待は 児童相談所(189)

この記事の根拠

  • 国立成育医療研究センター 子どものこころの診療部
  • 厚生労働省 災害時の子どもの心のケア
  • 日本小児科学会 子どもの心の診療
  • 日本トラウマティック・ストレス学会

まとめ

  • 子どものトラウマは 災害・事故・喪失・暴力・虐待・病気 など多様
  • 年齢で表れ方が異なる:再現遊び・身体症状・退行・回避
  • PTSD の4症状群:再体験・回避・認知気分の変化・覚醒亢進
  • 3か月以上強ければ 専門評価を強く推奨
  • 回復の3要素:安心・つながり・コントロール感
  • TF-CBT・EMDR などエビデンスのある治療法
  • 虐待は 189 へ、通告は義務
  • 親自身のケア も必須

大切なお知らせ:本記事は公的機関・学会の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめた一般情報です。診断・治療は必ず児童精神科・トラウマ専門医にご相談ください。

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