この記事のポイント
- まず結論:ゲーム障害(ゲーム行動症)は WHO がICD-11(2019年)で正式に精神衛生疾患 として認定。学業・睡眠・対人関係への明確な支障 があるかが鍵
- データ:厚労省推計でネット依存疑いの 中高生は2017年に約93万人(2012年比1.8倍)
- 相談先:久里浜医療センター がネット依存治療の中核施設、全国に治療施設リスト公開
- 対象:小学校高学年〜中学生のお子さんを持つ保護者向け
受診のタイミング
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| すぐ受診(小児科・心療内科) | 学校に行けない/睡眠時間が極端に短い/食欲低下・体重減少/自殺念慮・自傷/家族への暴力/不眠・うつ症状を伴う |
| 専門医療機関を検討 | 12か月以上 学業・対人関係に明らかな支障/本人がコントロールできず家族の声かけが効かない/久里浜医療センター等の専門施設 |
| 家庭ケアで様子見 | 一時的な使いすぎ/本人と話し合いでルール調整可能/睡眠・学業に大きな支障なし |
ゲーム依存(ゲーム行動症)とは
厚生労働省 ゲーム依存全国調査 によれば、WHO は2019年5月にゲーム障害(ゲーム行動症)を ICD-11 で正式な精神衛生疾患 として認定しました。
ICD-11 の診断基準(要点)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| コントロール障害 | 開始・頻度・強度・継続時間・中断などをコントロールできない |
| 優先順位の上昇 | 他の生活上の関心事や日常活動よりゲームを優先 |
| 続行・拡大 | 否定的な結果が生じても続行または拡大 |
| 生活機能への影響 | 個人・家族・社会・学業・職業領域に著しい支障 |
| 持続期間 | 通常 12か月以上 持続(重症例ではより短期でも) |
「ハマっている」だけでは依存ではなく、「やめたくてもやめられず生活に支障が出ている」 ことが診断の核心です。
日本の状況
厚労省調査 より:
- ネット依存疑いの中高生:2012年 約52万人 → 2017年 約93万人(5年で1.8倍)
- 男女差:男子に多いが、女子(SNS依存型)も増加
- 年齢:低年齢ほど治療が難しいとされる
家庭でできるチェックリスト
久里浜医療センター等の質問紙を参考にした 家庭での自己確認 ポイント:
行動の変化
- 使用時間が自分でコントロールできない
- 使えないとイライラする・落ち着かない
- 嘘をついて使用時間を隠す
- 約束した時間を超えて使い続ける
- 「やめろ」と言われると激しく怒る・暴言・暴力
生活面の変化
- 学業成績の急激な低下
- 遅刻・欠席・不登校
- 睡眠時間が極端に短い(4時間以下)
- 食事を抜く・食事中もスマホを離さない
- 入浴を嫌がる・身だしなみを気にしなくなる
- 以前の趣味・スポーツを完全にやめた
対人関係
- 家族との会話が激減
- 友人と直接遊ばなくなった
- 画面の中の友人だけが大事に
身体面
- 頭痛・目の疲れ・肩こり
- 手のしびれ
- 体重減少
- 食欲低下
5項目以上当てはまる + 3か月以上続く 場合は、専門相談を検討してください。
久里浜医療センター中心の治療
久里浜医療センター は 2011年に全国で先駆けてネット依存専門診療 を開始。
治療の柱
| 治療 | 内容 |
|---|---|
| 認知行動療法(CBT) | 「使いたくなる場面の特定」「代替行動の習得」「歪んだ思考パターンの修正」 |
| 家族療法 | 家族のコミュニケーションパターンを変える |
| 集団療法 | 同じ問題を抱える仲間と話す |
| 入院治療 | 重症例で約2か月。スマホ・PC一切持ち込み禁止 で生活を立て直す |
| 薬物療法 | うつ・不安・ADHD等の併存症に対して |
全国の治療施設
久里浜医療センター 治療施設リスト で全国の対応医療機関が公開されています。
家庭でできること(依存予防・初期対応)
環境ルール
- 使用時間を見える化:スクリーンタイム機能を活用
- 使用場所のルール:寝室・食卓では使わない
- 時間帯のルール:21時以降は使わない/朝食前は使わない
- 充電場所はリビング:寝室に持ち込まない
- ペアレンタルコントロール の活用
代替活動
- 屋外活動・スポーツ を一緒に
- 読書・趣味 を選択肢として
- 家族の時間(食事・会話・出かける)
- 友人との直接の交流 を支援
コミュニケーション
- 頭ごなしに禁止しない:本人の話を聞く
- 興味を否定しない:何が魅力なのか理解する
- 少しずつ段階的に減らす:急激な禁止は反発を生む
- 家族で同じルール:親も食卓ではスマホを使わない
学校との連携
- 担任・養護教諭との情報共有
- スクールカウンセラー への相談
- 学校での友人関係 の支援
やってはいけないこと
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| スマホ・ゲームを取り上げて隠す | 激しい反発・家庭内暴力につながることも |
| 「もう知らない」と放置 | 本人だけでは抜け出せない、家族の関与が必要 |
| 「子どもに勝てない」と諦める | 専門医療機関に相談する選択肢を |
| 親自身も食卓・寝室でスマホ | モデリング効果でルール定着しない |
| 「成績さえ良ければ」と他を見ない | 睡眠・対人関係の悪化を見逃す |
| 依存と決めつけて受診を強制 | 本人の反発を生む。「相談しに行く」程度の柔らかい誘い |
| 学校に隠す | 不登校・成績低下の背景理解が遅れる |
| 罰や暴力で取り上げる | 子どもの心理的な傷を深める |
「子どもとの距離感」のヒント
依存に向かう兆候があっても、頭ごなしの禁止は逆効果 であることが多い:
中立的な対話の例
-
❌「いつまでスマホやってるの!」
-
⭕「最近 寝るの遅いみたいだけど大丈夫?」
-
❌「ゲームばっかりだとバカになるよ」
-
⭕「ゲームで楽しんでるみたいだね。なに見てるの?」
家族で取り決める
- 本人と一緒に ルールを作る(押し付けでなく対話で)
- 段階的な目標(いきなり0時間は無理)
- 守れたら認める 仕組み
よくある誤解
Q. うちの子はゲーム好きなだけ、依存じゃない
A. 「依存」と「ハマっている」は別。学業・睡眠・対人関係への明確な支障があり12か月以上続くのが診断の核心。少しでも気になればチェックリストで確認を。
Q. スマホを取り上げれば治る?
A. 激しい反発・家庭内暴力に発展することもあります。段階的な減量と代替活動が基本、重症例は専門医療機関と相談しながら。
Q. 親が頑張ればなんとかなる?
A. 家族の支えは大事ですが、家族だけでの解決は難しい こともあります。久里浜医療センター等の専門施設や認知行動療法を検討。
Q. 何科を受診すれば?
A. まずは かかりつけ小児科・心療内科。重症なら ネット依存専門外来(久里浜医療センター等)へ。
Q. 入院治療はどんな感じ?
A. 久里浜医療センターでは 約2か月間、スマホ・PC持ち込み禁止で生活を立て直します。本人の同意が前提。
Q. 費用は?
A. 健康保険適用 の医療です(外来・入院)。詳細は施設に確認を。
この記事の根拠
- WHO ICD-11 ゲーム障害(ゲーム行動症)
- 厚生労働省 ゲーム依存・ネット依存の全国調査
- 久里浜医療センター インターネット依存治療部門
- 日本精神神経学会 ゲーム行動症(樋口進先生インタビュー)
まとめ
- ゲーム障害は WHO がICD-11 で認定済みの正式な疾患
- 中高生のネット依存疑いは 2012年比1.8倍 に急増
- 「やめたくてもやめられず、12か月以上 生活に支障」が診断の核心
- 久里浜医療センター中心に 全国の治療施設リスト が公開
- 家庭ケアは 環境ルール・代替活動・対話。取り上げ・放置はNG
- チェックリストで5項目以上 + 3か月以上 で専門相談を検討
大切なお知らせ:本記事は公的機関・専門医療機関の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめた一般情報です。お子さまの個別の状況については、必ずかかりつけ医・小児科・心療内科の医師にご相談ください。

