この記事のポイント
- まず結論:乳腺炎は産後の 約1〜2割 が経験、48時間以内の対応がカギ
- 授乳継続が基本:断乳すると悪化する
- 38.5度以上発熱・赤み拡大・48時間改善なし は感染性で抗菌薬必要
- 対象:0〜2歳のお子さんを授乳中の方とパートナー
受診のタイミング
国立成育医療研究センター より:
| 状況 | 連絡先 |
|---|---|
| 38.5度以上の発熱 + 乳房症状 | 即受診(産科・乳腺外科) |
| 赤みが広がる・拍動性の痛み | 即受診(蜂窩織炎・膿瘍の可能性) |
| 膿が出る | 即受診(切開排膿の可能性) |
| 48時間セルフケアで改善なし | 受診 |
| しこり + 軽い熱感 | 助産師・産科に相談 |
| 白斑(乳頭の白い詰まり) | 助産師相談 |
重要:「授乳を続けていいの?」も多い質問ですが、原則 授乳継続 が回復の鍵です。
乳腺炎とは
日本産科婦人科学会 より:
2つのタイプ
| タイプ | 原因 | 特徴 |
|---|---|---|
| うっ滞性 | 母乳のうっ滞 | しこり・軽い熱感、発熱は軽度〜なし |
| 感染性 | 細菌感染 | 38.5度以上の発熱・強い赤み・全身症状 |
頻度
- 産後女性の約1〜2割 が経験
- 産後2〜6週 に多い
- 再発率も高い
症状
- 乳房のしこり・赤み
- 熱感・痛み
- 発熱・倦怠感(感染性)
- インフルエンザ様の体調不良
48時間ルール
早期対応のポイント
- 症状に気付いたら即対応
- 48時間以内に改善しなければ受診
- 38.5度以上の発熱は即受診
セルフケア(48時間以内)
- 授乳継続:しこり側を優先
- 授乳姿勢を変える:詰まりの解消
- 温める or 冷やす:好みで
- 休息・水分
改善しないサイン
- 48時間経っても症状継続
- 発熱悪化
- 赤みが拡大
- 全身倦怠感が強い
「授乳継続」が基本
断乳しない理由
- 母乳のうっ滞が悪化 → 乳腺炎悪化
- 赤ちゃんへの影響はほぼなし:細菌は母乳に大量に出ない
- 「断乳すると治る」は誤った情報
飲ませ方の工夫
- しこり側を先に:吸引力↑
- 赤ちゃんの顎をしこりに向ける:詰まり解消
- 頻回授乳:3時間以上空けない
痛い時のコツ
- 痛みを我慢して飲ませる
- 適切な鎮痛薬は授乳中も使える:医師相談
「断乳が必要な感染症」
- HIV・HTLV-1 などごく限定的
- 乳腺炎は断乳不要
ホームケアの実践
国立成育医療研究センター より:
温めるか冷やすか
- 授乳前:ぬるめのシャワー・温タオル(母乳の出を促す)
- 授乳後:冷却(炎症を抑える)
- 好みで使い分け
マッサージの注意
- 強い「しこりを潰す」マッサージはNG:組織損傷
- やさしく搾乳の補助 程度
- 専門家(助産師・桶谷式) に依頼が安全
休息
- 「無理して動く」が悪化要因
- 横になる時間を作る
- 家事は最小限に
食事
- 「脂っこいものは乳腺炎の原因」は科学的根拠なし:気にしすぎない
- 水分摂取:母乳量↑
- バランスの良い食事
抗菌薬の判断
日本産科婦人科学会 より:
抗菌薬が必要なケース
- 38.5度以上の発熱
- 48時間セルフケアで改善なし
- 赤みが拡大
- 強い全身症状
授乳中も使える抗菌薬
- 複数あり:医師に「授乳継続したい」と伝える
- 「断乳しなくていい薬」を選んでもらえる
- 自己判断で飲まない
治療期間
- 通常5〜10日
- 症状改善後も処方分は飲み切る:耐性菌予防
膿瘍ができた場合
- 切開排膿 が必要なケース
- 乳腺外科 での対応
- 入院になることも
予防
こども家庭庁 産後ケア事業 より:
授乳の基本
- 頻回授乳:3時間以上空けない
- 左右均等に飲ませる:片寄り防止
- 赤ちゃんの口の開き方 が浅いと詰まりやすい
授乳姿勢の見直し
- 「いつも同じ姿勢」が詰まりを生む
- 横抱き・縦抱き・脇抱き をローテーション
- 赤ちゃんの顎が向く側 が飲まれやすい
衣類
- きついブラ・下着 はNG
- ワイヤーブラを避ける:詰まりの原因
- 授乳ブラ・カップ で柔らかく支える
復職・夜間断乳
- 急激な授乳間隔の変化 はうっ滞リスク
- 段階的に減らす
- 搾乳でうっ滞を防ぐ
産後ケア事業の活用
こども家庭庁 より:
助産師訪問
- 「授乳のコツ」を見てもらえる
- 乳腺炎の初期対応相談
- 自治体の保健センター窓口
母乳外来
- 病院・助産院で実施
- 詰まり解消・乳腺ケア
- 継続フォロー
桶谷式・SMC方式
- マッサージで知られる
- 「強いマッサージ」と「優しい施術」の見極め
- 資格・実績で選ぶ
やってはいけないこと
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 乳腺炎で授乳を止める | うっ滞悪化、乳腺炎自体が悪化 |
| 「赤ちゃんに細菌が」と心配して断乳 | 母乳に細菌は大量に出ない |
| 38.5度以上の発熱を様子見 | 感染性で抗菌薬必要 |
| 強い「しこり潰し」マッサージ | 組織損傷リスク |
| 市販鎮痛薬を自己判断で飲む | 授乳中OKの薬は医師相談 |
| きついワイヤーブラを使い続ける | 詰まりの原因 |
| 「脂っこい食事が原因」と過度な食事制限 | 科学的根拠なし、栄養不足リスク |
| 48時間改善なしで受診を後回し | 膿瘍化のリスク |
よくある誤解
Q. 乳腺炎になったら断乳すべき?
A. NO。授乳継続が基本。断乳すると悪化する。
Q. 細菌が赤ちゃんに入る?
A. ほぼ影響なし。乳腺炎の細菌は母乳に大量には出ない。
Q. 脂っこい食事が原因?
A. 科学的根拠なし。過度な食事制限は栄養不足のリスク。
Q. 強いマッサージで詰まりを取るべき?
A. NG。組織損傷のリスク。やさしい授乳・搾乳補助が基本。
Q. 抗菌薬を飲むと授乳できない?
A. 授乳中も使える抗菌薬は複数ある。医師に伝えて選んでもらう。
Q. 何科・誰に相談?
A. 軽症は 助産師・母乳外来、発熱・赤みは 産科・乳腺外科、膿瘍は 乳腺外科。
この記事の根拠
- 日本産科婦人科学会 産婦人科診療ガイドライン-産科編
- 国立成育医療研究センター 妊娠・出産・産後
- 厚生労働省 授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)
- こども家庭庁 産後ケア事業
まとめ
- 乳腺炎は産後の 約1〜2割 が経験、48時間以内の対応がカギ
- うっ滞性 vs 感染性 で対応が異なる
- 授乳継続が基本:断乳すると悪化
- しこり側を先に・授乳姿勢のローテーション
- 38.5度以上発熱・48時間改善なし は受診で抗菌薬
- 授乳中も使える抗菌薬 は複数ある
- 強い「しこり潰し」マッサージはNG:組織損傷
- きついワイヤーブラ・脂っこい食事原因説 は要注意
大切なお知らせ:本記事は公的機関・学会の発信情報をもとに012.kids編集部が独自にまとめた一般情報です。乳房症状や発熱が出た場合は、必ず産科・乳腺外科や助産師にご相談ください。

